医学講座

第36回日本熱傷学会(横浜)①

 日本熱傷学会のため、
 横浜へ来ています。
 横浜は快晴の良い天気です。
 今日は9:00から
 自家培養表皮ジェイス
 の発表を聞きました。
 昨年、保険適応になってから、
 救命救急センターを中心として、
 約20例近くに使われたそうです。
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 関西医科大学、
 白十字病院(福岡)
 広島大学病院
 前橋赤十字病院
 の4施設から使用経験が発表されました。
 いずれも重度の熱傷症例への使用でした。
 私の目で見て、
 しっかりとした製品で、
 使用効果は十分にあると思いました。
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 ただ…
 問題点もいくつかありました。
 まず、
 培養に3週間という時間がかかります。
 患者さん自身の皮膚を採取して…
 それを愛知県の会社へ送り…
 培養して製品化します。
 残念なことですが、
 皮膚を採取して送った後に…
 患者さんが亡くなってしまった例がありました。
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 問題はその場合の費用です。
 健康保険では…
 培養表皮を移植して、
 はじめて保険請求ができます。
 患者さんが亡くなってしまった場合は…
 培養の経費は、
 請求できません。
 現状では…
 すべて会社負担になるそうです。
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 この方式に問題があります。
 J-TEC社は
 日本ではじめて…
 培養表皮の製造承認を得た会社です。
 ここまでの道のりは、
 決して楽ではありませんでした。
 熱傷治療のためには
 企業として
 存続していただかなくてはなりません。
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 結婚式を予約しておいて、
 ドタキャンされたホテルはどうなりますか…?
 以前あった別のベンチャー企業は、
 良い製品だったにもかかわらず…
 会社がなくなってしまいました。
 国の支援制度などを充実させる必要があります。
 ベンチャー企業でも、
 高い公共性がある企業には、
 国として支援が必要だと思います。
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 重症熱傷に限られている
 承認を拡大することにより…
 培養表皮の需要は増えます。
 大学の研究室ですら…
 なかなかできなかった培養表皮です。
 私が在職していた当時、
 札幌医大形成外科でも研究していましたが、
 一枚も満足な培養表皮はできませんでした。
 J-TEC社がより発展して欲しいと思いました。

“第36回日本熱傷学会(横浜)①”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    お疲れ様です。
    培養表皮の研究を一度 テレビで観たように思います。ただすごい研究もあるものだなあと思ったものでした。本間先生もいくつになられても最新の研究など勉強され日々進歩する医療に熱心に取り組んでいらっしゃる事に頭が下がります。重傷の熱傷になったとしても完治でき、患者さんの
    明るい顔が見られるのもそう遠くない未来のような気がいたします。お疲れ様です。

  2. らずべりー より:

    先生、お疲れ様でございます。 培養表皮を製造されている会社が愛知にあるのですね。皮膚が足りない、又は、自分の表皮を違う場所から取られると傷の心配がっという方にとっては朗報ですね。

    製造に3週間かかるんですね。関西で治療が多いのは愛知との距離もあるからなのでしょうか。今後、少しでも短縮出来れば、助かる人が増えるのではないでしょうか。

    確かに、患者さんに培養移植してない場合は、保険でコスト請求は出来ませんねぇ。しかし、培養してる途中で患者さんが亡くなるという事態の場合は、国として医療に貢献している会社に対して支援して欲しいですね。

  3. らずべりー より:

    先程、報道ステーションで人工培養皮膚について、少しやっていました。
    培養皮膚を製造している会社の方が、熱傷患者さんの保険適応の範囲が重症の方のみであることについてふれられていました。
    また、医療や介護など、社会保障費が拡大になる為、消費税10%アップの話に繋がっていってました…。 10%にする前に公務員改革をして欲しいですねー。

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