医学講座
第36回日本熱傷学会(横浜)②
日本熱傷学会の報告②は、
培養表皮の続きです。
6月4日(金)午後には、
シンポジウム1
培養表皮を用いた熱傷の治療がありました。
①同種培養細胞を用いたⅡ度熱傷創の治療。
・東京女子医大形成外科_副島一孝
②培養表皮移植後の創管理について。
・聖マリアンナ医大形成外科_菅谷文人
③自家培養表皮移植における真皮成分再構築の意義。
・愛知医大形成外科_増田洋祐
④広範囲熱傷に対する自家培養表皮の上皮化率向上のための工夫。
・岩手医大救急医学_山田裕彦
⑤小児の広範囲熱傷に伴う瘢痕拘縮に培養表皮を使用した経験。
・社会保険中京病院形成外科_飛田 晶
⑥培養表皮移植における創管理上の問題点と工夫~われわれの経験から~
・東京医大形成外科_松村 一
⑦PBI100を超える重症熱傷に対する自家培養表皮移植。
・東海大学救急医学_秋枝一基
■ ■
最後に座長の
聖マリアンナ医大形成外科教授、
熊谷憲夫先生から、
米国視察レポートがありました。
インディアナ大学熱傷センターでの、
自家培養表皮(CEA)による重症熱傷治療
が報告されました。
日本と米国の違いがよくわかりました。
■ ■
今回のシンポジウムを聴いた感想は、
培養表皮だけでは限界がある。
屍体皮膚移植をした上で、
培養表皮移植をしなければ、
救命率の向上せず、
移植後の皮膚の性状も
向上しないということでした。
■ ■
簡単に言うと…
皮膚には脂肪の上にある、
白い厚い真皮と
一番上にある表皮があります。
真皮の中には、
毛・汗腺・脂腺といった、
皮膚付属器(ひふふぞくき)があります。
これらがすべてそろって…
皮膚としての機能を果たしています。
■ ■
培養表皮で覆うことができるのは、
一番上の表皮だけです。
下に真皮やしっかりとした組織がなければ、
移植した後で…
簡単に傷ができてしまったり、
皮がむけてしまいます。
2008年7月1日の院長日記
第34回日本熱傷学会
に書いてある通りです。
■ ■
私の培養表皮に対する感想は…
現在、国が認めた使用基準を、
もっと緩和すべきです。
培養表皮を作ったのに…
患者さんが亡くなってしまうような…
重症熱傷だけではなく、
もう少し…
浅い広範囲のやけどにも認めるべきです。
そうすると…
きれいに早く治るやけどが増えます。