医学講座
第36回日本熱傷学会（横浜）③
再生医療というと…
最先端のバイオ技術で…
どんな重症のやけどでも…
元のきれいな肌に治してくれる…？
そんなイメージを持っていませんか？
確かに…
夢であり、
理想です。
■ ■
私は…
いつも…
形成外科医は…
きずを治すプロです。
なんて…
えらそうなことを言っています。
■ ■
残念なことですが、
現在の…
最先端の医療技術を使っても…
重症のⅢ度熱傷は…
きれいに治せません。
下の写真にあるように、
培養表皮で救命した後には、
赤い瘢痕（はんこん）のような…
皮膚しかできません。
■ ■
ちょっとぶつけただけで…
簡単に傷ができます。
強いかゆみが出ることもあります。
ちょっとかいただけで…
傷になってしまいます。
救命された後で…
『どうして助けてくれたの…？』
と言われることもあります。
■ ■
本人も…
家族も…
苦しむことがたくさんあります。
重症熱傷には…
自殺企図による受傷もあります。
もともと死にたかった人が…
救命した後の身体で…
もっと死にたくなることもあります。
■ ■
自殺企図の方には、
生活保護を受けている人もいます。
一人の重傷熱傷の患者さんを救命して…
社会復帰させるのに…
数千万円の公費が使われることもあります。
そうして助けても…
また…ということもあります。
救急医も…
形成外科医も…
医療スタッフも…
悩みながら治療することがあります。
培養皮膚で救命した子供さん
http://www.burnsurvivor.comより引用
http://www.burnsurvivor.comより引用
培養皮膚の現実
2007年8月26日の院長日記
“第36回日本熱傷学会（横浜）③”へのコメント
コメントをどうぞ
前に、「生きたい人を殺すのは殺人だ」だが、「死にたい人を救命するのも殺人に等しいんだ」と言っているドラマを見た事があります。人の命というものは本当に言葉では表現できないくらい難しいものですね。
自殺してヤケドをされた方でも できるだけ綺麗に治して差し上げるのが形成外科医、心の病は精神神経科、いろんな分野の医師が必死になって、やけどされた方を治療する。自殺などの場合はいろんな科の医師の力が必要ですね。
これから医師になる方はそういった問題にも直面されますね。難しいですね。
今日は無加温さくらんぼハウスのハウス張りを早朝からしました。例年より遅れていますが、実はたくさん付きましたよ。みなさん山形にも来て下さいね。
事故で受傷された場合と何らかの要因で、ご自分で受傷された場合だと、受け止め方が更に違って複雑なのと思います。
患者さんの想いを理解し、話しやすい雰囲気づくりや精神科の先生のサポートも大切だと思います。
自殺をしようと思った要因が解決出来ないことだと退院してから心配になりますね。
熱傷の治療で、皮膚移植をしない治療例のサイトを見ました。
治療費もかなり安くすむようです･･･。
http://www.wound-treatment.jp/next/case/952.htm
差し出がましいですが、よろしかったらご覧になってみてください。
【札幌美容形成外科＠本間賢一です】
コメントをありがとうございました。私は熱傷専門医としてこの治療法はおすすめできません。日本熱傷学会で問題として取り上げられたこともありました。