医学講座
第34回日本熱傷学会①
平成20年6月28日(土)と29日(日)に
名古屋で第34回日本熱傷学会が開催されました。
私が医師になった、
昭和55年(1980年)に、
札幌で第6回日本熱傷学会が開催されました。
28年間の進歩というのは、
素晴らしいものです。
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今回の学会では、
聖マリアンナ医科大学形成外科の
熊谷憲夫教授の招待講演がありました。
‘皮膚再生医療による創傷治療’
というタイトルでした。
熊谷先生は、
日本における培養表皮移植のスペシャリストです。
今回の講演でも、
培養表皮移植の素晴らしさを見せていただきました。
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熊谷先生の講演をお聞きして、
正直なところ、
培養表皮移植を見直しました。
オブラートのように薄い培養表皮で、
よく治せるものだ…
というのが、
私の感想です。
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何度も書いていますが、
ふつうの人は、
培養表皮移植をすると、
どんなにひどいヤケドでも、
元のツルツルのお肌に戻せる…
と‘誤解’されます。
実際に、焼けただれてしまった皮膚を、
元に戻せるのではありません。
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今回の熊谷教授の講演をお聞きして、
先人の培養表皮に対する思い。
培養表皮移植の歴史。
現在の培養表皮移植の状況が、
とてもよくわかりました。
まだまだ私たち開業医が、
手軽に利用できる状況ではありませんが、
熊谷教授の聖マリアンナ医大形成外科でしたら、
世界一の治療が受けられます。
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私たち形成外科医が、
一番頭を悩ますのが、
ヤケドのキズ痕です。
若い女性に、
広範囲にヤケドの痕が残っている。
なんとかキレイにしてあげたいと思っても、
なかなか、
元のツルツルのお肌にはできません。
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もちろん培養表皮を使っても、
完全に元通りにはできません。
熊谷教授がスライドで見せてくださった症例は、
今まで私たちが考えていたより、
ずっとキレイになっていました。
費用も時間もかかりますが、
聖マリアンナ医大形成外科へ行けば、
かなり改善できると思います。
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神様がおつくりになった皮膚には、
表皮だけではなく、
真皮も、
毛も
汗腺も
神経も
皮脂腺などの付属器もあります。
培養できるのは、
今のところはこの一番上の
表皮だけです。
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将来、
表皮以外の皮膚成分も培養できるようなれば、
ヤケドやキズの治療は変わると思います。
火災や事故で
大ヤケドをした人の命を救うのが皮膚です。
救命のためには、
培養表皮だけではなく、
スキンバンクに保存された、
屍体皮膚も必要なのが現状です。
培養表皮はテレビで観た事がありますが、遠い次元の事かと思いましたら そうではなかったのですね。 屍体皮膚とは 死亡後の皮膚ですよね? 臓器移植ドナー登録カードには皮膚の欄があったでしょうか?前のカードなので、 やけどの痕がきれいに治せるのも そんなに遠くではないようで、形成外科の進歩に期待したいです。