医学講座
第34回日本熱傷学会②
日本熱傷学会の続きです。
われわれ形成外科医や救急医にとって、
ヤケドをキレイに治すのは至難のワザです。
昨年の熱傷学会の報告でも書きましたが、
ヤケドのことについて
もう一度、おさらいをします。
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ステーキを注文すると焼き加減を聞かれます。
・レア、
・ミディアムレア、
・ミディアム、
・ウエルダン。
ヤケドも
・Ⅰ度、
・浅達性Ⅱ度、
・深達性Ⅱ度、
・Ⅲ度、
と分類されます。
日焼けしてピリピリ痛いのがⅠ度、
水胞ができるのがⅡ度、
皮膚が全部焼けてしまったのがⅢ度です。
■ ■
問題なのはⅡ度のヤケドです。
キズ痕が残るか残らないかは、
いかにヤケドの処置を、
上手にするかどうかで決まります。
Ⅱ度のヤケドには水疱ができます。
この水ぶくれは、破らずに処置をします。
そうすると、
中から新しい皮膚ができてきます。
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昨年の日本熱傷学会で
フィブラストスプレーという薬が、
ヤケドをキレイに治すという発表がありました。
遺伝子組み換えのバイオ技術で作った製品です。
この薬を、子供のヤケドに使ったところ、
普通なら絶対に痕が残るヤケドなのに
キレイに早く治ったのです。
すごいことです。
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今年もたくさんの施設から、
このbFGF(ベーシック・エフジーエフ)という薬が
子供のヤケドに効くという報告がありました。
広島県の皮膚科の先生は、
詳しくまとめて報告されていました。
大学の先生からも評価されていました。
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問題なのは、
熱傷学会で早くキレイに治ることがわかっても、
保険診療でこの薬をヤケドに使うことができません。
厚生労働省が認可していないからです。
もっと悪いことに、
薬の説明書にはヤケドにも子供にも使わないようにと
記載されています。
とても残念なことです。
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一本一万円以上もする薬ですが、
それだけの価値があります。
厚生労働省に働きかけて、
早く正式に認可していただきたいと思います。
製薬メーカーにも頑張っていただきたいです。