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投機マネーの制御
平成20年7月5日、朝日新聞朝刊の記事です。
私の視点
投機マネーの制御に踏み出せ
寺島実郎(てらしまじつろう)
日本総合研究所会長
世界経済は、構造転換を余儀なくされている。
そのことが
北海道洞爺湖サミットで
見えてくるような予感がある。
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日本は戦後、
食糧とエネルギーを外部に依存して
産業を発展させてきた。
世界最大の食糧純輸入国として
バーゲニングパワーを発揮してきたが、
空気は一変した。
マネーゲームによって食糧、原油価格が高騰し、
経済は大きく揺さぶられている。
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先日、ロンドンでヘッジファンドの
運用責任者の話を聞いた。
運用資金の4分の1は日本から来ているそうだ。
超低金利が長く続き、
日本の金融資産が海外に流出。
食糧、原油の高騰を加速させ、
自ら首を絞めている。
プラックジョークだ。
日本は被害者という構図ではない。
■ ■
世界では、
サププライムローン問題を引き金に
金融不安が高まった。
欧米の金融当局は、
信用不安を恐れて金融を緩和。
すると投機マネーが世界を駆けめぐり、
物価を上昇させた。
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インフレ懸念が台頭するが、
景気後退が気になり、
金利を上げられない。
世界経済は身動きがとれず、
金縛りにあっている。
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金融不安は、グローバル化の影ともいえる。
グローバル化による資本の移動の自由が、
実需以上に金融を肥大化させ、
サププライムではじけた。
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サミツトの最重要議題は、
こうした金融市場の混迷と、
地球社会が長期で立ち向かう
地球温暖化の問題だろう。
金融と環境を両にらみで、
どう制御するかが問われている。
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私が考える解決策は二つだ。
一つは、450兆㌦ともいわれる
国境を越えた為替取引に、
国際機関が広く薄く
「国際連帯税」を課税して、
マネーゲームを縛る。
税収は、途上国への環境関連技術の移転や、
南極や北極の環境対策の財源にする。
■ ■
もう一つは、
日本としては食糧自給率の向上により
原油高騰と温暖化に立ち向かう。
自給率が高まれば、
輸入時の輸送に伴う燃料消費と
二酸化炭素の排出を抑制できる。
価格高騰への耐性も強まる。
日本が蓄積してきたバイオやナノテクの産業技術を
農業に生かす視点も大事だ。
(以上、朝日新聞より引用)
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今日から北海道洞爺湖サミットがはじまりました。
札幌駅周辺にも、たくさんの警察官が、
全国から応援に来ています。
北海道は景気低迷。
日本の株式市場も低迷してます。
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ガソリンをはじめとして、
パンからお弁当まで値上がりしています。
農業に必要な肥料代金も
大幅に値上がりすると報道されていました。
環境問題よりも、
もっと身近な生活がかかっている問題を
サミットで取り上げて欲しいと思います。
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投機マネーが
物価上昇の原因とはわかっていましたが、
アラブのお金だけではなく、
日本からの投機マネーが、
海外で悪さをしているとは知りませんんでした。
本当にブラックジョークです。
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私は、投機マネーに対する課税に賛成です。
額に汗をかいて、
手に豆をつくって、
一生懸命働いた人が、
幸福になれるのが、
住みやすい国です。
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人々が、
安心して生活できる国。
正直者がバカをみない国。
努力が報われる国。
健康で文化的な生活が営める国。
そんな国にしてください。
サミットに参加している首脳に、
この声を聞いて欲しいものです。