医療問題

難解な医者の言葉

 平成20年7月8日、朝日新聞朝刊の記事です。
 わかりますか?
 「予後6ヵ月」
 医師の言葉にメス
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 「予後(よご)は6ヵ月です」
 「腫瘍(しゅよう)マーカーが下がったので、
 化学療法(かがくりょうほう)が効いている」。
 医師に説明された言葉を、
 あなたは、
 どこまで理解できますか。
 国立国語研究所(東京都立川市)が、
 患者が分かりづらい
 医師の言葉100語を選んだ。
 来春までに、
 言い換えや
 分かりやすく伝えるための指針をまとめる。
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 理解しづらい医学の専門用語に選ばれたのは、
 予後のほか、
 QOL(生活の質)、
 寛解(かんかい)、
 合併症(がっぺいしょう)、
 浸潤(しんじゅん)など。
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 国語研が行った市民アンケートで、
 医療・福祉分野の言い換えの要望が高かった。
 これを受け、
 昨秋、
 杉戸清樹所長を委員長に、
 医師やコミュニケーション学の研究者ら24人で
 「病院の言葉」委員会を設置。
 「よく使われるのに、
 患者が分かりづらい」
 100語を選んだ。
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 これらの言葉について、
 診療上の重要度や患者らの理解の難しさ、
 実際の使われ方を、
 医師3千人、
 看護師・薬剤師1280人に尋ねた。
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 それぞれ650人、
 995人からの回答を分析すると、
 「必要度が高いのに、とても難しい」
 とされた言葉に
 「HbA1c」
 「予後」
 「ステロイド」
 などが浮かんだ。
 ただ、
 言い換えや説明なしで使っている医師は、
 この3語で
 6%、
 10%、
 23%いた。
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 委員会は、
 患者・家族に説明する際、
 「どんな用語が
 理解してもらうのに難しいと感じたのか」も、
 内科、外科、産婦人科、小児科の
 医師300人に尋ねた。
 その結果、
 様々な混乱が起きていることが分かった。
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 たとえば、
 白血病などで症状が
 一時的または継続的に
 消えた状態を示す寛解を、
 治ったととらえられた
 ▽治療することで起こりうる合併症を
 ミスと思われた――。
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 こうした状況に、
 委員の稲葉一人・中京大法科大学院教授は
 「専門用語の言い換えの問題ではなく、
 インフォームド・コンセント
 (十分な説明と同意)
 自体が問われている」と指摘。
 委員会は、
 分かりやすく伝えるための
 具体的な工夫を提案する。
 100語はホームページ
 (http://www.kokken.go.jp/)に掲載しており、
 今後の検討内容なども公開していく。
 田中牧郎・国語研言語問題グループ長は
 「患者が、なじみのない医学用語を理解するのは難しい。
 専門家が分かりやすく伝える工夫をする必要がある。
 その手引きにしたい」と話す。(小西宏)
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■分かりづらいとされた言葉の例
●予後(よご)
 病気やけがが、どうなるかの見通し、
 ただし、内容は、余命のことなのか、
 機能の回復なのかなど、病気や傷害によって異なる。
●腫瘍(しゅよう)マーカー
 がんの変化を把握する目印の一つ。
 がんの中には、
 そのがんが特徴的に作り出し、
 血液中に出てくる物資がある。
 それを目印にすれぱ、
 抗がん剤の効き目の目安にしたり、
 再発を疑ったりできるなど経過観察に役立つ。
●化学療法(かがくりょうほう)
 もともと感染症を化学物質で治療することを意味していたが、
 今は主に抗がん剤治療のことをいう。
●寛解(かんかい)
 症状が消えていたり、
 好転していたりする状態。
 血液がんなどの治療でよく使われるが、
 再発もあるため、
 「完治|とは意味が異なる。
●浸潤(しんじゅん)
 がんなどの細胞がまわりの組織に入り込んだり、
 壊したりしている様子。
 病気の広がりを示していることが多い。
●HbA1c(ヘモグロピンエーワンシー)
 平均的な血糖値を反映する指標。
 糖分が多いと増え、
 糖尿病の診断や管理の目安になる。
 (以上、朝日新聞より引用)

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 確かに、わかりずらい言葉がたくさんあります。
 でも、下に出した100の言葉のうち、
 高校までの生物で習う言葉もたくさんあります。
 たとえば、インフルエンザって知らない人がいます…?
 インフルエンザをどう言い換えるのでしょうか?
 日本語に直して、
 流行性感冒ですか?
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 ウイルスもそうです。
 病毒というのが、
 日本細菌学会が
 Virusを最初に翻訳した日本語です。
 ウイルスも細菌も中学校までに習います。
 このままの方が混乱しない言葉が、
 たくさんあるように思います。
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 ‘わかりやすい言葉’で説明することは大切です。
 私は、先輩から、
 患者さん(相手)のレベルに合わせて
 話すように教えられました。
 子どもには、子どもがわかりやすいように。
 医療関係者には、
 少し難解な言葉でもより専門的に。
 相手の立場に立って話すようにしています。
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 わかりにくい言葉はたくさんあります。
 そもそも、
 インフォームドコンセントなんて言葉がわかりません。
 しっかり、十分に説明をして、同意を得ると
 わかりやすい言葉にすべきです。
 世の中には、わかりにくい言葉がたくさんあります。
 ワンセグって何?
 82歳になる私の父は知らないと思います。
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 医者の言葉を、理解することも大切だと思います。
 私は、
 HbA1c(ヘモグロピンエーワンシー)は、
 言い換えない方がいいと思います。
 外国へ行っても
 HbA1c=5.0
 と書けば、外国の先生は理解してくれます。
 医者の言葉がわかるようになると、
 医学論文を読んでも理解できるようになります。
 下の100の言葉のうち、
 私はいくつも???と思う言葉がありました。
 国立国語研究所の先生に、
 もう少し考えていただきたいと思いました。
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■患者が分かりづらい言葉100語
 悪性腫瘍、悪性リンパ腫、イレウス、インスリン、院内感染、インフォームドコンセント、インフルエンザ、ウイルス、鬱血(うっけつ)、鬱病(うつびょう)、壊死(えし)、エビデンス、炎症、黄疸(おうだん)、介護老人保健施設、ガイドライン、潰瘍(かいよう)、化学療法、かかりつけ医、合併症、カテーテル、川崎病、癌、寛解、肝硬変、間質性肺炎、緩和(かんわ)ケア、既往歴(きおうれき)、狭窄(きょうさく)、狭心症(きょうしんしょう)、虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)、クオリティーオプライフ、クリニカルパス、グループホーム、ケアプラン、血栓、血糖、抗癌剤、膠原病、抗生剤、抗体、誤嚥(ごえん)、コンプライアンス、集学的治療、重篤(じゅうとく)、腫瘍(しゅよう)、腫瘍マーカー、ショック、自律神経失調症、心筋梗塞、浸潤、振戦、腎不全、髄膜炎、ステロイド、生検、セカンドオピニオン、喘息、譫妄(せんもう)、塞栓(そくせん)、尊厳死(そんげんし)、ターミナルケア、対症療法、耐性、治験、統合失調症、糖尿病、動脈硬化、頓服(とんぷく)、肉腫(にくしゅ)、熱中症、ネフローゼ症候群、脳死、ノロウイルス、敗血症、肺水腫、白血病、日和見感染(ひよりみかんせん)、貧血、副作用、プライマリーケア、ホスピス、ポリープ、慢性腎不全、メタボリックシンドローム、免疫(めんえき)、予後、リスク、臨床試験、レシピエント、ADL(日常生活動作)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、CT(コンピューター断層撮影)、DIC(播種性血管内凝固症候群)、EBM(根拠に基づいた医療)、HbA1c(血糖レペルの判定値)、MRI(磁気共鳴断層撮影)、MRSA(メチシリン耐性黄色プドウ球菌)、PET(陽電子放射断層撮影)、QOL(生活の質)
(以上、朝日新聞より引用)

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