医学講座

ラップ療法の問題点

 昨日(平成20年7月12日)、
 日本形成外科学会、
 北海道東北支部学術集会が開かれました。
 日本形成外科学会には、
 毎年春に行われる、学術集会、
 秋に行われる、基礎学術集会、
 その他、各地方単位で行われる、
 通称‘地方会’があります。
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 北海道と東北は、同じ一つの支部です。
 地理的に近いので、同じ支部になっています。
 ところが、札幌⇔仙台でしたら、
 飛行機の便数もある程度ありますが、
 岩手(花巻)
 弘前(青森)
 福島(福島)
 は、札幌⇔東京よりも不便です。
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 ですから、
 北海道は北海道だけで
 東北は東北だけで地方会をしています。
 年に一度だけ、
 北海道と東北が合同で地方会を開催します。
 一年ごとに、北海道と東北で交代でしています。
 今年は札幌なので、
 来年は東北で開催されます。
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 昨日の学会で、
 ラップ療法の問題点が議論になりました。
 外傷(ケガ)や熱傷(ヤケド)の患者さんに、
 サランラップを巻いて治す方法を、
 推奨している先生がいらっしゃいます。
 われわれの間では、
 ラップ療法と呼ばれています。
 昨日、学会で発表されたのは、
 形成外科以外の先生が、
 熱傷(ヤケド)の患者さんに、
 サランラップを巻いて治療し、
 悪化してしまった症例でした。
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 熱傷(ヤケド)は一番身近な外傷です。
 日本熱傷学会には熱傷専門医制度があります。
 熱傷専門医でなくても、
 誰でもヤケドの治療はできます。
 ところが…
 キレイに早く治せるかどうかが
 専門医の腕の見せどころになります。
 ヤケドには、先日もお話ししたように、
 深さによる違いがあります。
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 ある程度、深いヤケドはアトが残ります。
 手術が必要になることもあります。
 できるだけ、手術をしないで、
 キレイに痛くなく治すには、
 コツもポイントもあります。
 初期治療という、
 最初の治療がうまくできないと、
 後遺障害を残します。
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 ラップ療法のすべてが悪いのではありません。
 どんなに素晴らしい器械や薬にも、
 副作用があります。
 使い方を誤ると、
 とんでもないことになります。
 私が申し上げたいのは、
 ヤケドにサランラップを巻いたら、
 それだけで治りますというのは…
 大きな誤りです。
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 昨日の学会で出された症例(4例)は
 いずれも、サランラップを巻いていた部位に、
 感染を生じて、
 キズが深くなってしまっていました。
 最初から別の治療を受けていれば、
 もっと早く治ったのに…
 と残念に思いました。
 札幌市内でヤケドの治療が上手なところは、
 時計台記念病院
 形成外科・創傷治療センターです。
 私も昔、形成外科メモリアル病院の時代に勤務しました。
 困っていらっしゃる方は、こちらでご相談ください。

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