医療問題
時代遅れの認定基準
顔のキズについてのつづきです。
2010年5月27日に京都地裁で判決が出た、
35歳男性の認定についてです。
労災の認定は、
厚生労働省労働基準局が監修した、
労災補償
障害認定必携
という本の記載が基本になります。
■ ■
2008年8月14日の院長日記にも書いてあります。
醜状障害(しゅうじょうしょうがい)という…
聞き慣れない言葉です。
間違うと…
差別用語にもなりかねません。
醜(みにく)い傷が
残ってしまった後遺障害ということです。
■ ■
この醜(みにく)いの判断基準が、
時代遅れもいいところです。
「著しい醜状を残すもの」とは、
顔面部にあっては、
鶏卵大面以上の瘢痕、
長さ5センチメートル以上の線状痕
又は10円銅貨大以上の組織陥凹
読みにくい文章です。
鶏卵にもS~Lまであります。
■ ■
私は30年形成外科医をしています。
正直に言うと…
この著しい醜状に該当(がいとう)する、
傷を診たのは、
数えるほどしかありません。
障害認定必携
には図がついています。
これほどの傷が残っていないと…
著しい醜状とは認定されないのが、
現在の決まりです。
■ ■
労災補償_障害認定必携より引用
監修_厚生労働省労働基準局
発行_労働福祉共済会
[例1]左頚部受傷治ゆ後,左頚部から上ロ唇中央に違する長さ9.8センチメートルの線状痕(一部皮膚の隆起を伴う。)を残すもの(外ぼうの「著しい醜状」)
[例2〕顔面左半部に火傷を負い,鶏卵大面以上の著しい瘢痕が残っているか,人に嫌悪の感をいだかせる程度に達していないもの。(外ぼうの「著しい醜状」)
“時代遅れの認定基準”へのコメント
コメントをどうぞ
私も名称について、ちょっとどうなのだろう?って思いました。不慮の事故や火事で受傷された方もいるのに、醜状障害って…。
一般の人が聞いて、違和感を抱く人も多いのではないでしょうか。わかりやすく「熱傷障害」にするとか、医療用語を使用するなら「瘢痕拘縮後遺症」とかに名称を変更した方がいいのではないかと感じます。
基準についても、性別だけでなく、本当に現状のままでいいのか見直すべきですね。
図9の男性と図10の男性どちらも認定基準の為のイメージ画ですが、想像すると可哀想です。図10の男性は、目の近くに火傷を負われ、頬?耳、頬?首に受傷され瘢痕拘縮で、左下や左耳側や首の方に引っ張られている感じがします。ひきつれて左目尻が三白眼のようになっています。左耳の欠損や変形が著しい為、再建手術が必要なのではないでしょうか。図10の男性の場合、どうやって再建するのでしょうか。
時代遅れもひどいものですね。醜状障害という言葉も古すぎです。なぜもっと 一般的なもう少しあんなにひどくならないくらいの基準にできないのですか?こんなに進歩した日本なのに 型遅れというか戦前の絵をみているようです。改正を強く望みます。でもらずべりーさんのなんとか後遺症も 少し難しいからもっと わかりやすい呼び方ないですかね?らずべりーさんよろしく(お願い)
さくらんぼさんへ
醜状障害について、昨日は「熱傷障害や瘢痕拘縮後遺症」と書いたのですが、熱傷や手術後に限定し、項目を分けて名前を考えたら上記のようになりました。
醜状障害は、傷の程度によって風貌が酷いという広域的な意味を指すので、言い変えるとすると、「外貌後遺障害」とか京都第一法律事務所のオフィシャルサイトで糸瀬弁護士が書かれてある「労災後遺障害」というのがしっくりくるのかもしれません。労働基準監督署の方は、認定基準などで醜状障害や瘢痕、拘縮など書かれた認定基準や別に資料もあるそうでそれに書かれてあり、それでなれてしまったそうです。
図10にも瘢痕という言葉があります。これが認定基準に関する資料で役所のひともこれでやってるみたいですねぇ。