医学講座

眼瞼下垂症講座⑦【顕微鏡】

 若い人の眼瞼下垂症手術では、
 私は1~1.5㎝程度の切開しかしません。
 挙筋腱膜(きょきんけんまく)という、 
 眼瞼挙筋モーターについている、
 ひもを調節する手術です。
 大きく切らなくても、
 ひもは調節できます。
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 私自身が勤務医だった頃は、
 若い人の手術でもかなり腫れました。
 切開も長かったです。
 瞼には細かな血管がたくさんあります。
 肉眼でどんなにしっかり見ても…
 細かな血管までは止血できません。
 手術用顕微鏡を使って、
 細かな血管を止血できるようになってから
 切開が短くなりました。
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 マイクロサージャリーという、
 2009年10月6日の日記に書いてあります。
 私たち形成外科医は、
 細かい作業をします。
 切断された指をつなぐには、
 髪の毛よりも細い糸で、
 血管や神経を縫います。
 この手術を…
 マイクロサージャリーと呼びます。
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 顕微鏡を使って手術をするのは、
 形成外科や整形外科の他に
 眼科
 脳神経外科
 耳鼻咽喉科
 があります。
 最初に使ったのは耳鼻科の先生だそうです。
 最近では、
 歯科や
 産婦人科でも
 手術用顕微鏡を使って
 手術をするところがあります。
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 蘇春堂(そしゅんどう)形成外科の、
 新冨芳尚(しんとみよしひさ)先生が、
 顕微鏡を使った眼瞼下垂症手術の権威です。
 新冨先生は、
 北大形成外科講師で
 マイクロサージャリーのトップでした。
 1984年に開業なさった当時から、
 ビル内の診療所で、
 手術用顕微鏡を使っていらっしゃいました。
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 私たち北大形成外科の同門は、
 新冨先生の教えのおかげで…
 ごく自然に…
 手術用顕微鏡を使って手術をしていました。
 私はJA帯広厚生病院に勤務していた頃、
 唇裂(しんれつ)の手術に
 手術用顕微鏡を使いはじめました。
 ちょうど40代になり、
 眼鏡が必要になった頃でした。
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 高価な機器ですが…
 老眼(老視)になっても…
 実によく見えます。
 顕微鏡で拡大して、
 細かい血管を丁寧に止血し…
 挙筋腱膜(きょきんけんまく)という、
 幕のひもを調節します。
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 眼瞼下垂手術後の腫れという
 2009年2月10日の日記に書いてあります。
 形成外科専門医が手術をしても…
 私が手術をしても…
 10年前は
 目の手術は腫れるのが当たり前でした。
 まぶたの皮膚は薄く、
 皮膚のすぐ下に細かな血管網があります。
 血管が網のようになっています。
 細い針で注射をしても、
 血管に当たってすぐに内出血してしまうからです。
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 手術用顕微鏡を…
 使いこなすのにも、
 訓練が必要です。
 ここがチェーン店の、
 なんちゃって美容外科医と違うところです。
 腫れの少ない眼瞼下垂症手術は、
 誰にでも簡単にできる手術ではありません。


手術用顕微鏡です

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