医療問題
顔のキズの手術
昨日の日記に書いた…
労災事故により、
顔に重い傷が残ってしまった男性。
お気の毒なことと思います。
形成外科で手術して治して差し上げたいです。
実際に手術をする時に…
困ることがあります。
運動制限がない傷は、
保険適応で手術ができないのです。
■ ■
顔の運動制限。
労災保険に規定されている、
顔に関する運動は…
顎関節（がくかんせつ）だけです。
口を開いた時に、
上の歯と下の歯の距離が…
何㎜かで測定します。
これが規定されている…
唯一の運動制限です。
■ ■
つまり…
顔に傷が残っていても…
口を開けるのに支障がある…
などの運動制限がなければ…
労災保険でも、
健康保険でも、
傷をきれいにする手術は受けられません。
これが現在の日本の保険医療制度です。
■ ■
私が労災病院に勤務していた頃には、
厳密に運動制限がなくても…
保険診療で手術をしていました。
労災病院では、
自由診療で手術ができないからです。
市立病院などでも…
料金徴収条例を改定しなければ、
医師の判断だけで自由診療はできません。
■ ■
そもそも…
不慮の事故でできたキズを治すのが、
美容目的とは考えません。
鼻を高くする手術や…
シワを取る手術と…
傷を治す手術は別だと思います。
傷をきれいに治す手術は、
簡単ではありません。
技術も知識も必要です。
■ ■
美容外科へ行くと…
どんな傷でもきれいに治る？
と考えている人がいます。
これは大きな間違いです。
美容外科の傷が目立たないのは…
目立たないところを‘切る’からです。
目立つ傷を治すには…
技術も時間も必要です。
■ ■
日本形成外科学会では、
保険制度の問題点について…
何年も国に要望を出しています。
なかなか認められません。
鳩山さんのお孫さんがケガをしたら…
少しでもきれいに治したいと願うはずです。
運動制限がない傷でも、
保険適応で手術ができるようにしてください。
大部分の形成外科医は、
いつも疑問に感じています。
“顔のキズの手術”へのコメント
コメントをどうぞ
本間先生に教えていただかなければ まったく知りませんでした。事故など美容目的でない場合はどんな傷でも保険適用になると思っていました。おかしいですよね。そんな決まり頭の悪い私でさえ矛盾していると思いますから 鳩山さん おかしいとか思いませんか？ 男女差別あるのも今の世の中には矛盾してますよね。
昨日、先生の日記にありました、続きです。
【事故は平成7年(1995年）11月、判決は2010年5月27日、京都地裁、滝華聡之裁判長、男性(35歳)の勤務先はとある金属精錬会社。
(男性は金属溶解作業中に、燃え移り大やけどを負い顔や首、胸などに受傷し痕が残ったそうです。)
園部労働基準監督署は男性の障害等級を１１級と認定したが、もし女性だったら第５級と認定するため、男性は、障害等級の基準には、男性に対する不合理な差別がある」と主張している。】上記は、ネットから引用しております。
憲法14条の「法の下の(男女)平等」に違反してると判決が出ました。
受傷したのが15年前の20歳で現在、35歳の方です。
頬?口元に大火傷を負えば、ケロイド、肥厚性瘢痕で開口に制限が出たり、首だとひきつれて完全に真横に向けない、脇と胸に大火傷を負えば、腕が完全に挙げれないなど運動制限が出る可能性があるかと思います。瘢痕拘縮形成術をされたり、植皮もされているかもしれません。
今回の原告の男性が実際どうなのかは、わからないですが、金属を溶解したものが、かかって受傷した事、また、女性でしたら5級に認定だった可能性があった事を考えますと、少なからず、上記のような状態だと思いました。
激しい熱傷の場合、運動制限は、少なからずある為、事故や火事などで受傷された方が、自費で入院され、治療している方はいらっしゃらなかったような気がします。
大火傷で、もし、自費だと、大量のガーゼ交換や鎮痛剤、補液(点滴)、手術代とかだと3ヶ月入院だと相当な額になるかと…。
担当された医師の判断だったりしますが、ケロイドや肥厚性瘢痕で保険診療していたような…。どうだったかなぁ。正確に覚えてないです。すみません。
お久しぶりです。
昨年心臓バイパス手術を受けましたが、その時の傷とドレーン後が赤く膨れ上がって、たまに痒くなります。
一年経ったら落ち着くかと思っていましたが、変わらずです。
先日、循環器内科の医師に「こういう傷は形成外科に行くとよくなるよ」と言われましたが、治療は保険外になりますよね。
そして、入院しなければいけないでしょうか？
運動制限のある傷だけが保険対象とは知りませんでした。
傷って結構精神的ダメージが大きいですね。
私は銭湯を利用していますが、胸の手術跡が他の人から見て「気持ち悪い」と思われているかも等と考えてしまいます。
【札幌美容形成外科＠本間賢一です】
赤く盛り上がった傷は、肥厚性瘢痕（ひこうせいはんこん）なので保険適応になります。
函館でしたら函館中央病院形成外科をおすすめいたします。
ご返答ありがとうございます。
外来で治療出来るなら、治療したいと思います。
今度中央病院で受診します。