医学講座
脂腺母斑の手術時期2016
私の院長日記の中でも、
閲覧数が多く、
たくさんのコメントをいただいているのが、
脂腺母斑の手術時期です。
2013年7月12日に書いたものです。
子どもさんの手術時期
2013年7月11日の院長日記にいただいた、
まみ子師長さんのコメントにヒントを得て書きました。
頭がやわらかいうちに
…という続編もあります。
■ ■
脂腺母斑の手術時期
2013年7月9日の院長日記、
子どもさんの手術時期への追加です。
皮膚科の先生と…
私の考えが一番違うと思われるのが…
脂腺母斑(しせんぼはん)という母斑の手術時期です。
赤ちゃんの時に…
頭に毛が生えていない黄色っぽい部分があるので気づきます。
■ ■
『あれっ…』
『ここだけ毛が生えていない!』
…っとお母さんが気づきます。
皮膚科へ行くと…
『脂腺母斑(しせんぼはん)』という母斑です。
大きくなって局所麻酔で取れるようになったら…
取ったら良いです。
…と説明されることが多いです。
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大きくなって…
局所麻酔で取れる年齢になって…
形成外科で切除したとします。
頭が大きくなっているので…
どうしても傷が残ります。
頭皮も厚くなっています。
それだけ皮膚の緊張が強くなっています。
どんなに丁寧に手術をしても…
小さい時に受けた手術と比べると…
手術後の傷が目立ちます。
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脂腺母斑はある程度の年齢(30歳以上が多いです)になると…
基底細胞癌(きていさいぼうがん)という皮膚ガンになることがあります。
悪性度の低い癌ですが…
増殖して大きくなります。
皮膚のできものにもいろいろあります。
癌になる人はまれですが、
大人になると母斑は隆起します。
■ ■
一番困るのが思春期です。
脂腺母斑という名前のように…
思春期になって…
ニキビが目立つ年齢になると…
それまで平坦だった部分が…
脂腺の発達とともに…
盛り上がってくることがあります。
■ ■
頭皮の中に…
昆虫の卵がついたように見える子もいます。
皮膚科の先生に…
大きくなったら…
局所麻酔で取るようにいわれました。
…と形成外科に来られます。
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思春期に…
頭に傷をつけるのは抵抗があります。
塾や学校で…
なかなか通院できません。
プールもしばらくお休みです。
小さいうちにとっておけばよかった
…とは患者さんには言えません。
■ ■
頭に小さな毛が生えていな部分がある赤ちゃん。
もし脂腺母斑だったら…
医療費が【無料】のうちに手術で取ってください。
子どものうちの方が…
頭皮は薄くて柔らかいです。
皮膚に緊張もかかりにくいので…
傷あとも目立ちにくいです。
おじいさん先生からのアドバイスです。
■ ■
残念なのは、
赤ちゃんでも手術ができるのに、
手術を受けていない人がいることです。
胃がんは内科で見つかっても、
外科で手術をします。
脂腺母斑の手術は形成外科です。
大きくなってから手術ではなく、
お母さんの育児休業中に手術をすると、
病院に行くのに、
会社を休む必要もありません。
■ ■
私たち形成外科医は、
生後3ヵ月の唇裂の赤ちゃんの手術もしますし、
生後まもなく、
生まれたばかりの、
脊髄髄膜瘤という病気の赤ちゃんの手術も、
脳外科や整形外科といっしょにします。
自分の孫でしたら、
赤ちゃんでも全身麻酔で手術をします。
ひとりの形成外科医としての意見です。
“脂腺母斑の手術時期2016”へのコメント
コメントをどうぞ
脂腺母斑ほか、
赤ちゃんの時にできる手術は
育児休暇のうちにしてしまったほうが
傷も小さくいいですね。
病気のことをずっと悩みながら
育てていくことも
大変でしょうし
本人も悩みになると思います。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。赤ちゃんのうちに治療した方が効果的で早く治るものは扁平母斑です。茶色の薄いあざです。大きくなってからは再発が多いですが赤ちゃんの時は一度で治ることもあります。エビデンスはありません。経験です。
脂腺母斑の実物は見たことがないのですが、あれ?と思うくらいのものでしょうか? 私も息子たちも今は毛髪がバリバリですが子供の頃は薄く 谷村新司さんみたいでした。でもまれに癌になるのは怖いですね。 私は山形大学医学部の裏を知ってしまったので 脳外科と整形外科と形成外科が一緒に 手術するなんて夢のようです。 私のように脊髄腫瘍は脳外科でも整形外科でも手術しますが、それぞれの科のよいところがあるので手を取り合ってこれからの医療の進歩に貢献して欲しいと思っています。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。北海道でも脊髄については脳外科と整形外科の確執がある病院もあります。仲良く手術をする病院もあります。さくらんぼさんのおっしゃる通り各科が仲良く手を取り合って手術や診療をするといいのですがなかなか難しいことも多いですね。
いろいろな病気があるのですね。息子の子はなりませんでしたが、娘の子のときはよく見ます。よいお話を聞きました。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございました。いろいろなあざや病気のお子さんがいらっしゃいます。小さい頃から診ていると自分の子と同じようにかわいいです。ちょっとおへそが出ているだけでも気になります。本人が気づかないうちに治せるものは治したらいいと(私は)考えています。大きくなってから局所麻酔で手術というのは本人にとってもつらいものです。手術をしない医者にはわからないと思います。私たち形成外科医はちょっとしたキズでも『先生このキズいつになったら消えるの?』と言われます。