医学講座
残業ありき、医師悲鳴 道内大規模4病院に是正勧告
平成30年6月17日、北海道新聞朝刊の記事です。
<追跡2018>残業ありき、医師悲鳴 労基署、道内大規模4病院に是正勧告
一般病床が400床以上ある道内25の大規模病院のうち、少なくとも4病院が労働基準監督署から是正勧告を受けていた問題で、勧告を受けた病院の医師からは「どれだけ働けば良いのか」と悲鳴が上がる。一方、医師の長時間労働に悩む地域の中核病院は、勤務時間外に主治医を交代させて残業時間を半減させたり、小規模病院と役割分担を図ったりするなど、解決を模索する。過重労働の実態と、医師の働き方改革の取り組みを探った。(川崎学、尾張めぐみ)
■中核病院、複数主治医制など 解決へ模索
「患者に先進医療を提供したいという思いで働いているが、勤務医はみんな疲れ切っている」。違法残業で是正勧告を受けた大学病院に勤める40代の男性婦人科医は打ち明ける。
医師は午前8時には職場に行き、診療や研究などで日常的に午後10時ごろまで勤務するという。手術が深夜に及ぶことも多く、月3~4回の当直勤務もある。現在の残業時間は、厚生労働省が労災認定の基準とする過労死ラインの「月100時間」を超えるが、「医師は長時間勤務が当たり前とされ、疑問に思っても言い出せない」と漏らした。
北海道新聞の調べで、道内の大規模病院のうち、北大など4病院が過去5年間に、労使で結ぶ協定の上限を超えて残業させたとして是正勧告を受けていたことが判明。協定に盛り込まれた残業時間の上限が「過労死ライン」を超えた病院も4月末現在、市立函館、釧路赤十字など6病院あった。いずれも高度な医療を担う地域の中核病院だった。
過重労働などで医師の負担が特に集中しているとみられるのは、札幌であれば、大規模病院の中でも産婦人科や救急科などだ。また、札幌以外であれば、地域の中核病院全体に負担がかかっているとみられる。
背景にあるのは、2004年に始まった臨床研修制度だ。新人医師が研修先を選べるようになり、訴訟リスクの高い産婦人科や救急科のほか、札幌以外の地方勤務が敬遠され、現場を支えてきた研修医の勤務先の偏在が進んだ。
“大病院志向”で患者が中核病院に集中することも、負担増に拍車をかけているとみられる。道東の中核病院で勤務経験のある医師は「特に地方の中核病院は医師が少なく、当直や休日出番の負担は大きい。対応の難しい重症患者の転院先も少なくて自ら対処せざるをえず、ストレスは大きい」と明かす。
一方、残業時間の上限が過労死ラインを超す病院では、長時間労働解消への取り組みが始まっている。
市立札幌病院の救命救急センターでは2013年、日勤と夜勤の医師が交代する際に、患者を完全に引き継ぐ「複数主治医制」を導入した。それまでは、最初に診療した医師1人が患者を続けて担当。患者の容体が安定するまで残るため、長時間勤務の原因となっていた。
医師同士の役割分担は徐々に進み、2017年度の月平均残業時間は49時間と、2012年度の103時間から半減した。佐藤朝之(ともゆき)センター長(48)は「チームで診療することで、医療の質も上がる」と強調した。
空知管内の高度医療を担う砂川市立病院では昨年、高齢の入院患者が急増。高齢患者は肺炎を起こしやすく、内科医の時間外の呼び出しが増え、同科の研修医の平均残業時間が月120時間を超えたという。
同病院は今年1月、内科と循環器内科で、他の病院からの紹介状がない患者の初診料を1080円から3780円に値上げし、専門医の必要ない患者の診療を地域のかかりつけ医に任せる取り組みを始めた。
この結果、今年1~3月の初診患者数は昨年と比べて2割減り、研修医の平均残業時間も20時間近く減ったという。病院事業管理者の平林高之医師(62)は「かかりつけ医と専門医の役割分担を進めることが、医師の負担軽減につながる。かかりつけ医にまず診てもらうなど、患者側の協力もお願いしたい」と話した。
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
医師の残業、労使協定超え 道内6病院「過労死ライン」
2018年6月8日の院長日記でご紹介した、
北海道新聞の記事の続きです。
北海道新聞社が、
医師の過重労働を取り上げています。
記者さんの熱意が感じられます。
大病院に労基が入るなど、
昔は考えてもみませんでした。
■ ■
自分が受け持った患者さんの容態が悪ければ、
深夜に病棟から電話をもらったり、
深夜に病院に行ったこともありました。
私が若い時代には、
それがあたりまえだと思ってました。
医師も労働者だと考えると、
休日に拘束することも考えなくてはいけません。
■ ■
市立札幌病院救命救急センターの
月平均残業時間、
2017年度の49時間は少ないと思います。
2012年度の103時間でも少ない気がします。
私が在職していた頃は、
もっと働いていた気がします。
お父さんの仕事は当直
…と子供さんが幼稚園で言った先生がいました。
■ ■
経営者となって考えることは、
休日や夜間に、
自宅で電話対応をしてくれた時間を、
残業時間に含めなくてもいいか?
…ということです。
休日に労働者を拘束すると、
手当を考えなくてはなりません。
いつ来るかわからない急患のために、
自宅でお酒も飲めない先生がいると思います。
“残業ありき、医師悲鳴 道内大規模4病院に是正勧告”へのコメント
コメントをどうぞ
お父さんの仕事は当直
夜も休日も、来る日も来る日も当直で
お子さんが遊んでほしい時に
いらっしゃらなかったのでしょうね。
大変だったと思います。
勿論、奥様も。
昔に比べて今は改善に向かってるのでしょうが
まだまだですね。
患者さんもいらっしゃますし、
お酒をおちおち飲んでる心境ではないと思います。
父の友人はお医者様でしたが
お酒は飲んでませんでした。
急患にいつも備えてました。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。医師にも2タイプあってお酒が好きな先生は飲んでいます。私は自分が当直でなくても救急当番の日は飲みませんでした。ふだんから飲みませんが、、、
人の命を救う関わるお仕事は
大変な労力だと思います。
なくてはならないお仕事だと
思いますので、
お医者さまが健康で安心して
働けるようになることが
患者さんにとっても安心な
医療を受ける事ができると思いました。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。大きな病院の院長先生を歴任した先生が亡くなったり病気になったりするのを見てストレスのためかなぁ~と思っています。私なんかストレスが少ない方だと思っています。
大学病院はベッドの稼働率を上げることをいつも考えていて、治らないのに出される気分です。 今、ブラックペアンを観てますが、あんないがみ合いばかりの心ない教授ばかりいる病院はほんとにあるのでしょうか? あの番組をみると医師、看護師になる人が減るように思います。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。私は見ていませんがうちの奥さんは毎回見ています。テレビはフィクションです。大学病院や大病院は稼働率よりも平均在院日数を気にしています。すべて厚生労働省の医療行政のためです。