昔の記憶

通信の進歩

 私が医師になった30年前、
 電話は電電公社の独占でした。
 家庭に電話が一台の時代です。
 病院の電話も、
 家庭の電話もダイアル式でした。
 電話を引くにも、
 電話加入権という権利が必要で、
 かなりのお金がかかりました。
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 一人ひとりが携帯を持つ時代になり、
 携帯でメールをしたり、
 写真を撮ったり、
 写真を送ったり…
 …なんてことは…
 想像もできませんでした。
 時代は変わったものです。
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 北大病院の病棟チーフの時、
 患者さんへの入院連絡は、
 電話で行っていました。
 市内電話は自由にかけられましたが、
 市外電話は、
 教官だけがかけられました。
 当時の教官は、
 教授、助教授、講師、助手の4人でした。
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 患者さんへの連絡のために、
 助手の先生に頼むこともできないので、
 病棟から、
 交換手さんに頼みました。
 内線69○○から、
 形成外科、○○先生公用で…
 石狩0133-○○-○○○○番をお願いします。
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 札幌のお隣町、
 石狩や江別、北広島へかけるのも、
 すべて市外通話でした。
 札幌→関西なんて、
 通話料が高くて高くて…
 結婚前の奥さんとは、
 数えるほどしか電話はしていません。
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 当時は、
 手紙でした。
 せめて速達が…
 若い研修医には…
 唯一のぜいたくでした。
 今の若い人が…
 TV電話で話すのは、
 信じられない思いです。
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 電話やメールが便利になった分、
 通じるのが当たり前
 …になってしまっています。
 今回のメールトラブルのように、
 原因不明の不達事故もあります。
 電話は通じないとわかりますが、
 メールは不達でもわかりません。
 申し訳ございませんが、
 返信がなければ…
 011-231-6666へお電話をください。

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