昔の記憶
母の唯一の同窓会
平成24年7月17日、朝日新聞朝刊、
『ひととき』への投稿です。
母の唯一の同窓会
我が家の近くで一人暮らしをする85歳の母に、小学校の同窓会の通知が届いた。うれしそうにはがきを見せる母をいぶかしく思い、「行くつもりなの?」と聞いた。生まれ育った静岡県袋井市で開催とある。視力の落ちた母が1人で行くには近いとは言えない。
でも、「これが最後だと思うから、どうしても行きたい。新幹線のホームまで送ってくれればいい」と、温和な母が珍しく引かない。それほど言うのならと、夫に頼んで会場まで車で送ることにした。
車が故郷に近づくにつれ母はおしゃべりになった。幾度となく聞かされた昔話。17歳で母親を亡くし、5人の弟妹の世話や農作業に追われ、青春を過ごした。大変でなかったはずはないのだが、思い出はみな温かく懐かしいのだろう。
会場の前まで来ると、「ありがとう」を繰り返し、「私はね、小学校しか出てないから、同窓会はこれだけなんだよ」と、つぶやいて車から降りた。
小さな後ろ姿に、「いっぱい楽しんできてね」と声援を送った。そして「行くつもりなの?」と意地悪く聞いたことをわびた。
母にとって、たった一つの同窓会なのだ。
東京都調布市 山崎正江_主婦_62歳
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
私の祖母、太田キヨも小学校しか出ていません。
和裁の学校へ行ったようですが、
最終学歴は小学校です。
札幌市北区茨戸(ばらと)が…
祖母が育ったところです。
■ ■
祖母が小学校の同窓会に行ったかどうか…?
私には記憶がありません。
85歳というと私の両親の年代です。
もう亡くなってしまった人が、
生きている人より多いと聞いています。
■ ■
私が卒業した小学校は、
北海道美唄市の炭鉱の街にありました。
炭鉱が閉山して…
小学校も閉校してしまいました。
小学校の同級生とは…
何年も会ったことがありません。
■ ■
85歳になって、
小学校の同窓会に出席できるのはすばらしいことです。
もっと素敵なのは、
近くにお嬢様がいらして、
同窓会の会場まで車を運転してくださる、
素敵なご主人がいらっしゃることです。
きっと…
大切にされているおばあちゃんだと思います。
いつまでもお元気で!