医学講座
いじめと形成外科①
私は形成外科医として、
30年以上、仕事をしています。
いじめの対象となりそうな…
生まれつきの病気を手術してきました。
赤ちゃんに異常があったら
…という2009年1月27日の院長日記に書いてあります。
■ ■
形成外科は
体表面の先天異常を手術で治す科です。
内蔵の異常よりも、
余計に気になるのが、
赤ちゃんの顔の異常です。
待望の赤ちゃんに異常があったら、
お母さんは衝撃を受けます。
産んでしまった私の責任と…
■ ■
せっかく赤ちゃんが生まれたのに…
写真も撮れず…
親戚や友人にも見せられない…
お母さんの悩みは深く、傷つきます。
前にも書きましたが、
現在の医学でも
はっきりとした原因はわかっていません。
お母さんの責任ではありません。
■ ■
お母さんの責任は生まれたあとです。
赤ちゃんにしっかりと治療(手術)を受けさせ、
その後もしっかりと通って治療を続けます。
私が感激したことに、
口蓋裂の子どもさんのお母さんが、
子どもに一本も、
むし歯を作らなかったことがありました。
そのお母さんは、
むし歯もつくらず、
娘を立派に育て、
お嬢さんは看護師さんになりました。
■ ■
もし万が一、
生まれてきた子どもに…
異常があったら…
泣いていてもダメです。
自分を責めてもダメです。
いいお医者さんを見つけて、
ちゃんと手術を受けて
キレイに治してもらうことです。
■ ■
子どもが不憫(ふびん)で…
甘やかしてしまう人もいます。
甘やかしても…
子どもさんは強くなれません。
愛情を持って育てると…
子どもも親も強くなれます。
■ ■
お母さんにも…
子どもさんにも…
たくさん悩みはあります。
でも…
いっしょに悩んで…
毎日、歯磨きをして…
いっしょに病院へ通院して…
とても仲良しになれます。
■ ■
そんな親子を見ていると…
少々悪口を言われても…
そんなの平気ょ…
…と言えるようになれそうです。
私たち形成外科医ができることは、
ほんの少しですが…
将来、この子がいじめられないように…
…と願って手術をしてきました。