医療問題

消せないキズあと

 年末に北海道医師会から‘感染症 今、何が問題となっているのか?’という本が送られてきました。男性、女性ともに性感染症、特にHIV感染が急増しているという興味深い内容がありました。北海道は離婚率、妊娠中絶率、女性喫煙率、女性の性感染症が全国一という不名誉な記録を保持しています。婦人科以外の医師も「若い女性は無症状でも多くの性感染症を持っている可能性がある」という目で診療に当たって欲しいという専門医からのメッセージがありました。一部をご紹介いたします。
 エイズ予防キャンペーンにより1990年代はじめから性感染症は一時減少しました。ところがエイズに関する意識が薄れるとともに1996年から淋菌・クラミジア感染症が急増しています。クラミジア感染症は男性では約50%、女性では80%以上が無症状です。女性ではせいぜいおりものが増える程度の症状です。
 クラミジアに感染している女性が妊娠すると流産・早産の原因となります。生まれてくる子供にも新生児肺炎や結膜炎を起こします。
 エイズ(HIV感染)は感染しても軽い風邪程度の症状しか出ません。その後、5~15年は無症状で経過します。症状はなくてもHIVは盛んに増殖を繰り返しているので、SEXによりパートナーに感染します。
 HIVに感染の機会があってから4~8週間の間はウインドウピリオドといって検査でもわかりません。ですから知らないうちにHIVに感染していて、他人に感染させている人がたくさんいても不思議ではありません。献血に行ってもHIV陽性の結果は本人に通知しません。検査目的で献血されて血液が汚染されるのを防ぐためです。
 クラミジア・HIV・梅毒などの性感染症にかかると、体には抗体というものが作られます。抗体を検査すると何十年たっても性感染症にかかったことが簡単にバレます。この抗体はどんな薬を使っても一生消すことはできません。
 整形手術のキズあとは上手に手術をすれば専門医でもわからないくらいキレイになります。しかし性感染症のキズあとは、抗体という神様が創ったキズあととして、生涯あなたの体に残ります。くれぐれも用心なさってください。

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