医療問題
留年
私は平成10年9月から平成14年7月まで札幌医大形成外科に勤務しました。当時は形成外科教授が不在だったため、私が形成外科担当者として教員会議に出席していました。
教員会議は①定期試験の受験資格について。②卒業試験の問題作成などについて、各科から担当教員が出席して検討する会議です。
大学の講義は2/3以上出席すると定期試験の受験資格が与えられます。逆に言うと1/3は欠席しても大丈夫です。大部分の学生さんは、ほぼ毎回出席しますが、中にはギリギリの人もいます。
普通の会社に勤務して1/3も休んだら、お給料がもらえなくても当たり前ですね。‘あんたもう来なくていいょ’と言われると思います。札幌医大は点呼で出席はとらず、秘書さんが出席カードを配ります。学生さんの中には、この出席カードをごまかしてもらい、友人に名前を書いてもらう人もいます。昔からそういう学生はいましたし、カードのごまかし方も先輩から引き継がれたりします。出席をごまかしても、試験は通って‘立派な’先生になった人もいます。
一科目で出席がギリでも目立ちませんが、これが何科目にもなると目立ちます。教員会議では‘やさしい’ハト派の先生と‘きびしい’タカ派の先生がいます。厳しい先生になると、『こんな学生が医者になる資格はない!』と一発で落とされます。試験の成績も悪く、出席も悪いとハト派の先生も救いようがありません。
前の日記で、受験に失敗して予備校に行くのは悪くないと書きました。しかし、留年はダメです。せっかく大学に入って勉強の機会が与えられたのに、自分が怠惰で留年するなんてもってのほかです。入りたくても入れなかった人のことを考えてください。一人の学生を卒業させるのには多額のお金がかかります。親が出した授業料もあります。国公立大学でしたら税金も使われています。医学部は特にお金(税金)がかかります。
医師不足で困っている過疎地もたくさんあります。真面目な教員は一回の講義をするのに、倍以上の時間をかけて準備をします。講義に出るのは義務だと思って出席してください。代返やカードの偽造もダメです。