医学講座
形成外科で多い手術②
昨日の院長日記でご紹介した、
形成外科で多い手術①
平成23年の市立札幌病院形成外科で…
一番多かったのが…
K005-1皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2㎝未満)173件
難しい名前に見えます。
ひふ・ひかしゅよう_てきしゅつじゅつ(ろしゅつぶ)
■ ■
私の推測ですが…
具体的に多いのは…
色素性母斑
しきそせいぼはん
…の手術だと想像します。
私が20年前に勤務していた時…
JA帯広厚生病院の時代…
多かったのは色素性母斑という『ほくろの手術』でした。
■ ■
あれれ…
ホクロ除去手術は美容目的で、
『保険も効かない』って書いてあったじゃない!
…とお怒りの言葉をいただきそうです。
そうです、
ホクロ除去手術という、
2008年10月20日の院長日記に書いてあります。
■ ■
所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4
ホクロの除去費用
【照会要旨】
ホクロを除去するための手術の費用は、医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】
容姿を美化し又は容ぼうを変えるための費用は、
疾病の治療のための費用には当たらないので、
ホクロの除去費用は、医療費控除の対象とはなりません。
■ ■
この通達は国税庁が作成したものです。
法律に書いてあるので
『ホクロ除去手術』は保険ではできませんが正解になります。
ところが…
『ほくろ』と悪性黒色腫の見分け方という、
2010年1月11日の院長日記に書いてあるように、
『ほくろ』と悪性黒色腫は、
皮膚悪性腫瘍を専門とする医師でも、
難しいことがあります。
特に早期の小さな(薄い)病変を…
肉眼だけで的確に診断するのは、
極めて難しいことがあります。
■ ■
2010年1月10日の院長日記でご紹介した、
日本皮膚科学会HP に…
ダーモスコピーのことについて書かれています。
ダーモスコピーについては、
東京都荒川区(新宿ではありません)の
東京女子医大東医療センター皮膚科の
田中勝先生の解説があります。
■ ■
ダーモスコピーという、
特殊な拡大鏡を使って、
皮膚科専門医が見ても難しいのが、
悪性黒色腫の鑑別診断(かんべつしんだん)です。
なんちゃって美容皮膚科医が、
おホクロの治療は簡単ですょ。
レーザーで5分で取れます。
…というところは危険です。
■ ■
ダーモスコピー検査も、
病理組織検査もしないで、
もし悪性黒色腫を見逃して…
6ヵ月後にリンパ節が腫れてきて…
組織検査をしたら悪性黒色腫の転移だった…
…なんてことになったら…
訴えられて100%敗訴します。
■ ■
国税庁のお役人は…
ホクロ除去は簡単で、
美容外科や美容皮膚科で受ける…
…と考えていらっしゃるようです。
確かに美容目的で行われるほくろ除去手術も多いですが、
かしこい患者さんは…
形成外科で病理検査を受けると思います。