昔の記憶
雪が解けたら何になるか知ってる?
平成25年3月26日、北海道新聞朝刊、
朝の食卓というコラムです。
朝の食卓
雪が解けたら
渡辺貞之
あれは確か、1年生の理科の時間。
「雪が解けたら何になるか知ってる?」と聞いたら、みんな張り切って「水になる」と答えました。ところが遅れて後ろの方から「春になる」って声が聞こえたのです。みんなドッと笑いました。私も思わず一緒に笑いました。
「やっちゃん、またー」。声の主が分かり、みんなやっちゃんの方を振り向きました。そう言ったのは、やっちゃんは何かにつけ、ちゃかしてばかりだからです。
ところがその時、やっちゃんはいつになく真剣な声で、「だって、雪解けたら春になるんだべや」と、むきになって言い返したのです。「何言ってるんだ。雪解けたら水になるんだべ」。みんなも私も、笑いながらやっちゃんをからかいました。
後になって、私はその時の言葉が妙に気になってきました。「雪が解けたら春になる」。なんとすてきな言葉でしょう。
「どうして春になるって言ったの?」と後日、やっちゃんに聞いてみました。するとやっちゃんは「納屋で父さんが、やっとあったかくなってきたなあ。さあ、雪が解けたら春だ。そしたら仕事が忙しくなるぞと言ったんだ」と話してくれました。父さんの言葉をしっかり覚えていたのです。
私はそんなやっちゃんのすてきな言葉をエラーしてしまったのです。いつの間にか忘れていました。「心を育てる教育を」
(元小学校教諭・深川)
■ ■
理科の時間に…
雪がとけたら…
水になるが正解です。
でも…
冬が長い北国では…
雪がとけて春になるのを待っています。
やっちゃんの言葉はすてきです。
■ ■
今年は例年にない大雪です。
札幌市内にもまだ積雪があります。
ちょっと路地に入ると…
車の深いわだちがあります。
通行も大変です。
昨日はJRの架線事故がありました。
交通機関は大変です。
■ ■
やっちゃんのお父さん。
きっと働き者です。
やっとあったかくなってきたなあ。
さあ、雪が解けたら春だ。
そしたら仕事が忙しくなるぞ
農業は大切な産業です。
日本の農家が元気で働ける世の中にしてください。
TPPがちょっと心配な春です。