医学講座
フィブラスト常備薬は無理
昨日の院長日記、
フィブラストスプレーの作用機序
…にさくらんぼさんからコメントをいただきました。
やけどして
すぐスプレーを使うといいということは
家庭に常備できる物なんですか?
子供がいるんでスプレー下さいで
皮膚科などで処方してくれますか?
■ ■
確かに、
富山の置き薬のように、
家庭に常備薬としてあれば、
理想的ですね。
残念なことですが、
医療機関ですら、
常備薬は難しいです。
■ ■
フィブラストスプレーは、
1本一万円近くします。
有効期限もあります。
いつ来るかわからない患者さんのために、
高価な薬を常備しておくことは、
ふつうの医療機関では無理です。
病院が赤字になってしまいます。
■ ■
もう一つ困ることは、
フィブラストスプレーが小児熱傷に効くことはわかっているのに…
正式に国(厚生労働省)の認可を受けていないことです。
添付文書には、
【効能・効果】
褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)
【使用上の注意】
5.小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
…と明記されています。
■ ■
フィブラストスプレーが小児熱傷に効くことは、
熱傷専門医の常識になっています。
皮膚血流を調べた論文も出ています。
それなのに、
まだ国の承認が得られていません。
正式には、
小児のやけどにすぐ使うのは適応外です。
■ ■
一刻を争うのがやけど治療です。
痕が残ってからでは遅いのです。
添付文書には、
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
…と書かれていますが、
もう10年以上使われています。
早く正式に使えるようになって欲しいです。
フィブラストスプレーは、
大きな病院の形成外科には常備していると思います。