医学講座
ソ連の警備艇に撃たれた漁師さん
今日は2025年2月25日(火)です。
残念なことにウクライナにいい考えがありません。
ネットのニュースを読むと、
次は日本が危ないとか、
台湾もトランプに見捨てられるとか、
信じられないようなことが書いてあります。
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北海道に住んでいると、
ロシアの脅威を感じることがあります。
昔、釧路労災病院に勤務していた時のことです。
根室市立病院から患者さんの依頼がありました。
漁師さんがソ連の警備隊にやられたという事件でした。
根室海峡で操業中、
霧の中から急にソ連の警備艇が出てきて、
漁師さんの首に照明弾を撃ちました。
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左頸部に3センチくらいの穴が開いていて、
穴の中に破裂した照明弾の黒い残骸が残ってました。
やけどなので形成外科が担当になりました。
首の太い総頚動脈がやられていました。
外科の先生は、
『だめだ、助からない』と言いました。
私も助からないかも?と思いました。
当時、私と一緒に働いてくれていたのが、
藤岡浩賢ふじおかひろたか先生でした。
■ ■
真面目な藤岡先生は毎朝7:00頃から、
懸命に患者さんの処置をしてくれました。
首の穴以外は生命に危険をおよぼすような外傷はありませんでした。
とても私では無理なので、
北大に応援をお願いして、
杉原平樹先生(当時は助教授)に来ていただきました。
穴をふさぐ手術をしていただき、
患者さんを救命することができました。
私が一生忘れなれない患者さんの一人です。
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腹立たしいのが、
根室海峡で操業中の事件だったのに、
労災が適応にならなかったことです。
釧路労災病院だったので、
事務方に何度も確認してもらいました。
ソ連の警備艇が撃ったのは間違いないので、
第三者行為による傷病なんだそうです。
この事件は北海道新聞にも掲載されましたが、
労災にならなかったことは記事になりませんでした。
もしロシアが攻めて来たら大変なことになります。
70歳の形成外科医が思うことです。