医学講座
陥没乳首と授乳
赤ちゃんはお母さんのおっぱいがあると反射的に吸い付きます。これを吸啜反射(キュウテツハンシャ)と呼びます。哺乳動物は何も教えないのにお母さんのおっぱいに吸い付きます。
お母さんは乳首を吸われると反射的に乳汁を分泌します。これを射乳反射(シャニュウハンシャ)と呼びます。乳頭が刺激されると脳下垂体後葉という部位からオキシトシンというホルモンが分泌されます。脳下垂体はちょうど目と目の間の奥にあります。鼻の奥で大脳の下にあります。オキシトシンは乳腺の筋上皮細胞を収縮させ、乳汁を分泌します。神様が創った自然のメカニズムです。
ところが、陥没乳頭の女性は乳首が出ていないために赤ちゃんが吸い付けません。吸おうとしてもツルンとしているので吸い付けないのです。吸い付かれないと刺激も伝わらないため、乳汁分泌が減ります。
女性の中には、陥没乳頭に気づかず、赤ちゃんができたら出てくると思っていらっしゃる方も少なくありません。妊娠して、助産婦さんにマッサージを習ってはじめて陥没乳首が‘病気’だと気づきます。時すでに遅しです。
妊娠しておっぱいが出る状態では陥没乳頭の根治手術はできません。程度が軽い方はマッサージだけで出ることもありますが苦労します。
3月9日にも詳しく書いてあります。乳首が窪んでいる方は、妊娠する前、結婚する前、彼ができる前に手術を受けておいてください。デキ婚であわてても遅いのです。