医学講座
交通事故と診断書
今朝のTVと新聞で報道されていました。
プロ野球・楽天の田中将大投手(23歳)が、
2011年12月14日、
仙台市内で車を運転中に自転車と出合い頭に衝突。
自転車の女性(56歳)は腰の骨にひびが入った。
交差点に信号はなく、
自転車の側に一時停止の標識があった。
田中投手は、
現場近くにある、
日本製紙クリネックススタジアム宮城へ練習に向かう途中だった。
■ ■
田中投手は12月15日、
球団を通じ「相手の方に大変申し訳なく反省している。
一日も早い回復をお祈りしている」とコメントした。
同球団は田中投手を厳重注意し、3ヶ月間、運転禁止とした。
以上が報道の内容です。
車の運転と事故はつきものです。
けがをされた女性の回復をお祈りしています。
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交通事故のけがの場合、
医師の診断書が必要になります。
保険会社は、
医師の診断書が提出されて…
人身事故として警察が事故処理をしていないと…
保険金を支払わない場合があります。
私の交通事故がそうでした。
■ ■
医師にとって困るのが…
全治○週間という…
治療期間の決め方です。
保険会社に治療費を請求する関係で、
全治一週間と書いたのに…
治るまでに…
一年もかかると…
どうして…?
一週間の診断書なのに…
一年もかかるの…?
…ということになります。
■ ■
女性の顔に傷ができると…
少しでも目立たなく治療したいと思います。
裁判官の娘さんでも…
警察官の娘さんでも…
弁護士さんの娘さんでも同じです。
ちょっとでも赤味が残っていたり…
色素沈着が残っていたりすると…
治療したいと思います。
■ ■
形成外科で診断書を作成すると、
ちょっとした顔のけがでも、
向後約一年間の通院治療を要する見込みである…
…と書く場合があります。
顔の傷が残りそうな時は…
私は約一年間と書くようにしています
実際に何年もかかることがあります。
■ ■
困るのが…
刑事処分や行政処分の重さが…
治療期間によって決められることです。
治療期間が3ヶ月以上になると…
重傷事故と判断されることがあります。
そもそも…
医学用語に軽傷とか
重傷はありません。
定義もはっきりしません。
■ ■
用語自体も、
医学では軽症・重症…
…とやまいだれの症を使います。
形成外科で、
一年間の治療と書くと…
よく検察庁から問い合わせが来ていました。
罰金や行政処分を決めるのも…
なかなか難しいのです。
田中投手の事故のように…
骨にひびが入ると治療期間は長くなります。