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清潔と不潔

 私はキレイ好きです。毎日お風呂に入り、歯も一日4回(朝昼夕食後と寝る前)磨きます。お風呂にも入らず歯も磨かない人は不潔ですね。一般的にいう清潔・不潔の概念はこんなところです。ところが医学(特に外科学)でいう清潔と不潔は大きく違います。
 1860年代に英国の外科医リスターが滅菌法を確立しました。近代外科学は滅菌法が発見されたことにより大きく発展しました。リスター以前の外科手術は創が膿んで、膿が出るのがキズによいと考えられていました。ですから今なら考えられないくらい手術による感染が多く、死亡率も高かったのです。足一本切断しただけで感染して死んでしまっていました。今ならすぐに訴訟です。
 医学でいう清潔とは菌がまったく存在しないこと、すなわち無菌状態を意味します。不潔とは無菌状態ではない状態を指します。外科手術で使用する器具やガーゼは‘滅菌’されています。ガーゼ交換で使用する器具やガーゼも同じです。高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)という滅菌器やエチレンオキシドというガスを使用して無菌状態にします。どんな菌も全くいない状態です。
 白い巨塔などのTVドラマを見ると、手術の時に外科医は薄いゴムの手袋をしています。これは手が汚れるのを防ぐのではなく、むしろ逆に手についたバイ菌を術野につけないためなのです。この手袋も滅菌されています。清潔そうに見える人の手にも常在菌という細菌がいます。人間の体は皮膚という厚いバリアーで覆われているため、手にバイ菌がついても感染しません。
 ところが手術で皮膚にキズをつけると、バリアーがなくなり菌が体に入ってしまいます。性病がうつるのは、性器の粘膜が薄く、皮膚に比べるとバリアー機能が落ちるためです。昨日のタンポンでTSSになりやすいのも同じ理由です。
  この手術で使うゴム手袋は1889年に米国の外科医ハルステッドが考えました。手術室のナースが消毒剤で手が荒れて困っていました。ハルステッドは彼女のためにゴム手袋を使わせました。するとナースの手荒れがよくなっただけではなく、手術の感染率が激減しました。こうして米国のボルティモアから全米へ手術用手袋が普及しました。手術室ナースはハルステッドの恋人で、医学史に残るラブストーリーと言われています。
 私が札幌美容形成外科を開業する時に、一番充実させたのが滅菌設備と手術器具です。札幌美容形成外科には合計4台の滅菌器があります。目に見えない部分ですがこれが外科の基本です。器械は高価でたくさん揃えることは大変です。しかし、外科の基本を無視しては安全に手術はできません。残念なことですが、美容外科の中にはこの手術器具の滅菌という基本中の基本を守っていない施設があります。他人に使用した器械を簡単に洗って、消毒剤で簡単に消毒しただけで次に使用しているところもあります。
 キャンペーンで割安だからといって、価格でクリニックを選ぶととんでもない目に遭うことがあります。自分の体は自分で守ってください。

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