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千葉大病院に賠償命令(東京地裁)

 2019年1月11日のYahoo!ニュースに掲載されていました。
 北海道新聞や産経新聞にも共同通信の配信記事として掲載されました。
 千葉大病院に賠償命令 手術後措置で後遺症
 千葉大病院で受けた手術後の措置で意識障害の後遺症を負ったのは、看護師のミスが原因だとして、埼玉県の男性(26)と両親が大学に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(佐藤哲治裁判長)は10日、計約1億5300万円を支払うよう大学に命じた。
 佐藤裁判長は、男性が手術後のたんの吸引時に激しく抵抗していたのに、看護師は異常な事態と判断せず、応援要請もしなかったとして過失を認定。気道閉塞に早く気付けば、低酸素脳症による脳障害が生じた可能性は低いと判断した。
 判決によると、男性は平成24年8月、形成外科で顔の骨の形成手術を受けた。4日後のたんの吸引作業中に容体が急変し、低酸素脳症による遷延性意識障害の後遺症を負った。
 千葉大病院総務課は「判決文を確認できていないのでコメントは差し控える」としている。
 (以上、産経新聞WEBページより引用)

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 形成外科の手術で
 低酸素脳症による遷延性意識障害の後遺症が残ったことを、
 とても残念に思います。
 一人の形成外科医として、
 患者さんとご家族に、
 心からお詫びいたします。
 ほんとうに申し訳ございませんでした。
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 形成外科では顔の骨の手術をします。
 手術後は、
 つばがたくさん出て、
 吸引が必要になります。
 私が北大形成外科の病棟チーフだった時にも、
 顔の骨の手術をしていました。
 私も看護師さんも吸引をしていました。
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 私自身は、
 地方病院の形成外科や市立札幌病院形成外科の時に、
 外傷による顔面骨骨折の手術をしていました
 手術後には顎間固定がっかんこていという固定をしました。
 昔はワイヤーで固定をしていました。
 枕元には、
 いつでもワイヤーを切れる道具を準備していました。
 看護師さんとの勉強会をして、
 緊急時には看護師さんがワイヤーを切って、
 看護師さんが吸引する訓練もしていました。
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 Yahoo!ニュースには、
 判決によると、男性は2012年8月、上あごと下あごのズレを矯正する手術を受けた。この際、気管を切開して呼吸用チューブを取り付けられたが、手術の4日後、チューブにたんが詰まって窒息状態になった。異変に気づいた女性看護師2人が5分ほど吸引したが改善せず、低酸素脳症による意識障害になった。
 判決は、看護師が呼吸の回数や脈拍を確認する義務があったにもかかわらず、男性の様子を十分に把握していなかったと指摘。医師を呼ばずに吸引を続けたのも不適切で、「早く処置をしていれば障害は生じなかった」と認定した。

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 判決文を読んだわけではないので、
 はっきりとは言えません。
 気管切開をして、
 呼吸用チューブが取り付けられていると、
 たんの吸引は看護師さんでも容易にできます。
 詳しい状況はかかりませんが、
 (看護師が)医師を呼ばずに吸引を続けたのも不適切
 …という判決文に疑問を感じます。
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 大学病院でも、
 すぐに医師が病棟に駆けつけられないことがあります。
 ベテランの看護師さんでしたら、
 新人医師よりよほど上手に吸引ができます。
 患者さんに重大な後遺障害が残ってしまったのは事実です。
 私たち形成外科医は、
 この事故を教訓にして、
 より安全な手術や術後管理を行います。
 若い形成外科医や美容外科医に、
 ぜひこの事故のことを知ってほしいです。

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