医学講座
業務用洗浄剤に注意!
私が毎年出席している、
日本熱傷学会北海道地方会
…は勉強になります。
第25回日本熱傷学会北海道地方会では、
強アルカリにより、
足の指をすべて切断した例が報告されました。
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難しいのが、
アルカリによる組織損傷の程度です。
一見すると、
血流がよく、
治りそうなやけどに見えます。
そこが落とし穴です。
私にも痛恨の誤診経験があります。
一生忘れることはないと思います。
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もう一つ注意しなければならない点があります。
強アルカリによるやけどは、
痛くないのです。
患者さん自身が気づかないことがあります。
ふつうのやけどは痛いので、
すぐに気づきます。
女性に多いのが、
髪の毛をくるくるにするこてを、
誤ってくびにつけるやけどです。
気をつけないとあとが残ります。
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強アルカリによるやけどは、
アルカリの液がついても、
こてのやけどのように痛くありません。
患者さん自身が気づかないことが多いです。
気をつけていただきたいのが、
業務用洗浄剤です。
よく落ちるのは、
強アルカリのためです。
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アルカリの液が長靴の中に入ってしまった。
アルカリの液が自分の靴についてしまった。
痛くないので、
そのまま作業を続けます。
そうするうちに、
強アルカリが皮膚を通り越して、
皮下脂肪の中にまで浸透してしまいます。
どんどん深くまで組織を破壊します。
神経まで破壊するので痛みは軽度です。
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患者さんが気づいた時には、
組織が黒く変性していることがあります。
私たちが診察をしても、
アルカリがどこまで浸透しているか?
判断できないことがあります。
私の痛恨の誤診経験も、
組織血流があり損傷された部位の色もピンクでした。
私が後世の先生に伝えたい失敗です。
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業務用食洗器の洗剤、
業務用のダクト洗浄剤、
ぎとぎとの油を落としてくれる業務用洗浄剤には、
強アルカリの製品があります。
くれぐれも注意してください。
家庭用の配水管洗浄剤、
パイプクリーナーにも、
強アルカリの製品があります。
取り扱いには十分に注意してください。