医学講座
痛くないやけどに注意!
今日は2019年1月29日(火)です。
一年で一番寒い時期です。
昨日の業務用洗浄剤に注意!
…への続きです。
形成外科で手術が必要になる深いやけどは、
実は痛くないやけどが多いのです。
知らない間に、
こんがりと中まで火が通ってしまいます。
■ ■
深くなるやけどの代表が、
湯たんぽによる低温やけどです。
2009年6月4日の院長日記です。
湯たんぽによるやけど。
経済不況になり、
部屋が寒いので、
寝る前に湯たんぽを使う方が増えたそうです。
■ ■
北海道から九州の先生まで、
最近、湯たんぽによるやけどが増えたと…
発表されていました。
湯たんぽは、
古くからある便利な道具ですが、
使用方法を誤ると…
やけどをします。
女性と
小さな子どもさんの、
湯たんぽによる、
低温やけどが増えています。
■ ■
『低温やけど』をネットで検索すると、
いろいろなサイトが出てきます。
やけどは高温の液体とか物体に、
人の皮膚が触れて起こります。
天ぷら油がはねた…
髪を整えるアイロンが触れた…
ハワイで日焼けして赤くなった
…なんてのもヤケドです。
天ぷら油も、
アイロンのコテも、
ヤケドをした瞬間に痛みがあります。
熱い!⇒痛い!でわかります。
■ ■
ところが…
低温ヤケドが厄介(やっかい)なのは…
この熱い!⇒痛い!が無いのです。
寒い夜に…
一人で冷たい布団に入って、
足が冷たいのは辛いものです。
あたたかい湯たんぽは、
とても気持ちがよいものです。
ついつい湯たんぽに
ぴったりと足をくっつけてしまいます。
疲れていると…
そのまま爆睡してしまうこともあります。
■ ■
そうすると…
温かくて気持ちがよかった湯たんぽが
凶器に変わります。
人間の皮膚も蛋白質でできています。
蛋白質は熱に弱く、
皮膚も卵のように焼くと白く固まります。
ゆで卵を作る時に、
沸騰したお湯に短時間入れると、
半熟卵になりますが、
少し低温で時間を長くすると、
黄身まで固い完熟卵になります。
■ ■
気持ちがよいと思っていた
湯たんぽの温度でも、
長時間当たっていると、
皮膚が損傷されてしまいます。
これを低温やけどと言います。
湯たんぽの他に、
ホカロン、
暖房便座、
床暖房、
ホットカーペットなど、
あらゆる温かいもので
低温やけどをする可能性があります。
■ ■
注意していただきたいのは、
低温やけどをしても、
すぐには気づかないこともあります。
痛みがないこともあります。
夜勤明けの看護師さん、
睡眠薬で爆睡してしまう方、
お酒に酔って意識が薄い方、
下肢の知覚障害がある方。
低温やけどになりやすい方は、
意外と多くいらっしゃいます。
子どもさんにも注意が必要です。
安全な湯たんぽは
添い寝をしてくれる…
温かい親の脚です。
“痛くないやけどに注意!”へのコメント
コメントをどうぞ
私の母が若い頃、朝起きたら
足のすねがパンパンに腫れていて
驚いたそうです。湯たんぽが原因でした。
皮膚移植をしたそうです。
知人は寒くてストーブの前で寝てしまい
足をやけどしました。本間先生が
例にあげてくださったように
睡眠薬を飲んでいたそうです。
ちょっとした油断や知識がなかったり
すると大変なことに繋がりますね。
今日も教えていただいてありがとう
ございました。
親の足の温かさ、母も私も冷え性
なので、いつも手足が冷たいです。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。小範囲の低温やけどだと気づかないことがあります。お母様は皮膚移植までなさって大変だったと思います。下腿の皮膚移植は生着しにくいことがあります。私が手術をさせていただいた患者さんでも再手術になったこともあります。気をつけていただきたいです。
肩にあずきのチカラをチンして
繰り返し首や肩に乗せてました。
肩がジリジリ痛かったですが
肩こりが治ると我慢してました。
ところがある日、肩を見たら
ピンクと紫の汚いグラデーションに。
あずきのチカラなのか湿布なのか
原因がわからず皮膚科に行くと
あずきのチカラだそうです。
深く芯まで焼けたそうです。
あずきのチカラは
しばらくしない方がいいと
診断されました。
我慢にも程がありました。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。恥ずかしながらあずきのチカラという製品を知りませんでした。うちでは手作りのダックスフントの形をした同じような製品を使っています。どこかのバザーで家内が購入したように記憶しています。電子レンジでチンして温めています。主におなかが痛くなった時の温め用です。私はよくイヌにお世話になっています。
電気毛布をしてますが、それでもヤケドしますか?入院中足が冷たくなり湯たんぽを当ててもらいましたが、看護師さんがたびたびみにきてくれました。なぜなら少し前年配の方が湯たんぽで低温ヤケドをして中々治らなくていたからです。怖いのですね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。電気毛布での低温やけどは経験がありません。電気毛布の説明書には注意が書いてあります。病院ではとても注意しています。手術後に持続硬膜外麻酔をしていると感覚がにぶくなり患者さん自身では気づかないからです。看護師の仕事は大変です。