医学講座

難しいやけどの診断

 形成外科は手術で治すので、
 誤診は少ない科です。
 皮膚腫瘍の診断をすることはありますが、
 大きな手術をする前には、
 必ず皮膚科の先生の意見を聞いたり、
 生検(せいけん)という検査をするので、
 診断を間違うことはまずありません。
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 外傷の診断は、
 CTやX線写真を撮ります。
 骨折の診断を間違うことも、
 あまりありません。
 手術前には慎重に診断して、
 手術計画を立てます。
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 難しいのがやけどの深さです。
 特にあかちゃんのやけどは、
 深さを誤りやすいです。
 泣いているので…
 痛みの程度を聞くこともできません。
 見た目で判断しますが、
 赤ちゃんの皮膚は薄く、
 大人と同じ基準で判断すると間違います。
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 私が判断を間違った痛恨の例が、
 アルカリによる、
 化学損傷といわれるやけどです。
 広範囲の、
 アルカリによるやけどは、
 今までに一例しか見たことがありません。
 ふつうのやけどより、
 ずっと浅く見えます。
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 教科書には、
 アルカリ損傷は深くなると書かれていますが、
 実際に経験してみて、
 はじめてその恐ろしさを知りました。
 一度経験するとわかりますが、
 広範囲のアルカリ損傷は怖いです。
 北海道で起こった事故で、
 複数の救命救急センターが治療しました。
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 ドクターヘリで搬送して、
 東京のスキンバンクからも、
 皮膚をいただきました。
 残念なことに…
 どの施設でも救命できませんでした。
 今でもよく覚えています。
 明日から熱傷学会なので、
 東京へ来ています。
 今日の東京は過ごしやすいです。

“難しいやけどの診断”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    お疲れ様です。 早めに休まれて明日の学会に備えてください。 山形は寒いくらいです。

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