医学講座
難しいやけどの診断
形成外科は手術で治すので、
誤診は少ない科です。
皮膚腫瘍の診断をすることはありますが、
大きな手術をする前には、
必ず皮膚科の先生の意見を聞いたり、
生検(せいけん)という検査をするので、
診断を間違うことはまずありません。
■ ■
外傷の診断は、
CTやX線写真を撮ります。
骨折の診断を間違うことも、
あまりありません。
手術前には慎重に診断して、
手術計画を立てます。
■ ■
難しいのがやけどの深さです。
特にあかちゃんのやけどは、
深さを誤りやすいです。
泣いているので…
痛みの程度を聞くこともできません。
見た目で判断しますが、
赤ちゃんの皮膚は薄く、
大人と同じ基準で判断すると間違います。
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私が判断を間違った痛恨の例が、
アルカリによる、
化学損傷といわれるやけどです。
広範囲の、
アルカリによるやけどは、
今までに一例しか見たことがありません。
ふつうのやけどより、
ずっと浅く見えます。
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教科書には、
アルカリ損傷は深くなると書かれていますが、
実際に経験してみて、
はじめてその恐ろしさを知りました。
一度経験するとわかりますが、
広範囲のアルカリ損傷は怖いです。
北海道で起こった事故で、
複数の救命救急センターが治療しました。
■ ■
ドクターヘリで搬送して、
東京のスキンバンクからも、
皮膚をいただきました。
残念なことに…
どの施設でも救命できませんでした。
今でもよく覚えています。
明日から熱傷学会なので、
東京へ来ています。
今日の東京は過ごしやすいです。
“難しいやけどの診断”へのコメント
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お疲れ様です。 早めに休まれて明日の学会に備えてください。 山形は寒いくらいです。