院長の休日

六花亭製菓社長小田豊さん

 平成24年3月8日北海道新聞朝刊の記事です。
 トップの決断
 北の経営者たち
 六花亭製菓社長
 小田 豊さん(64)
 1947年、帯広市生まれ。帯広三条高、慶応大商学部卒。京都の老舗菓子店・鶴屋吉信で修行後、1972年7月六花亭製菓(当時は帯広千秋庵)に入社し、副社長。95年6月、社長。
 従業員は家族ゆとり職場へ残業ゼロ号令
 雇用維持の信念貫く
 東日本大震災のあった昨年3月。来客の大半を観光客に依存する小樽店の売り上げが、前年同月比で9割も減った。会社全体でも3割減。経験したことのない事態だった。経費削減が必要だが、すでに徹底して取り組んできた。人を減らすわけにはいかない。自分は何をすべきなのか。
 「残業はしないでほしい」。悩んだ末、従業員に指示を出した。雇用を最優先する考えに揺るぎはなかった。
 夏ごろから売り上げが徐々に回復し、仕事量も増えてきたが、残業ゼロの号令は社内に浸透していた。従業員は動きに無駄のないよう用具の置き場を変えるなど、地道に工夫を重ねた。その結果、1人当たり年間150時間あった残業時間が、2011年度はゼロになる見通しだ。経常利益も前期を60%上回る見込みで、特別ボーナスを3月、全従業員に支給する。
 厳しい局面で雇用維持を貫けたのは、長年の積み重ねがあったからだ。
 父豊四郎氏が創業した帯広千秋庵(現六花亭製菓)に1972年入社し副社長に就任した。このころ、ホワイトチョコレートがブームとなり、フル生産が続いた。
 1人1日1情報
 70~80年代、業績は急激に伸びた。ところが、会社の机の上に毎日のように従業員の辞表が置かれているのを目にした。給料や残業手当が支払われても休みは取れず、「もうついて行けない」との理由だ。
 ただ、菓子職人であり「お菓子の神様」と呼ぱれた父に、辞表の話など言い出せない。夜、従業員を呼び、酒をくみ交わして慰留した。「これは労働搾取だ。なんとか変えることはできないか」と思い始めた。やがて確信した。「おいしいお菓子を提供するためには、心も体も健康でなければいけない」
 週休2日制導入を追い風に1989年、従来のように有給休暇を買い上げることはしない、と宣言した。同年以降、毎年、全従業員の有給休暇消化100%を実現している。
 ゆとりのある職場づくりを進める一方で、従業員には意識改革を求めた。副社長だった87年から始めた「1人1日1情報」という取り組みだ。仕事で改善すべき点、客に言われてうれしかったこと、プライベートなことなど、さまざまな情報を従業員に出してもらう。寄せられる情報は1日600~700。毎日3時間かけて目を通して120~130を選び、365日休まず発行する社内新聞「六輪」に掲載する。
 「会社は大きな家族と考えているので、私は家長です。家族の思いを共有しようと、六輪を始めました。今では、これがないと経営はできない」と話す。全従業員1300人の名前と顔を覚えている。人事は、適性を考慮してすべて自分で決める。
 改善努力は、日々続けられる。今年1月、看板商品の「マルセイバターサンド」の個別の包装をフィルムを折りたたむ方式から、袋に入れて密封する方式に変更した。「製品に虫が入っていた」という苦情がまれに寄せられるためだ。調べてみると、これらの虫は道内に生息しないため、出荷時の混入ではない。折りたたみ式の包装には隙間があるため、本州などで、食べるまでに虫が入ってしまうと推測できた。
 密封式の機械の導入に2億円かかった。でも、思わぬ副産物があった。これまでのフィルムを折りたたむ機械の作業では、クリームを挟んだクッキーを押さえる必要があった。袋に入れる新方式ではその工程がないため、クリームのふんわりした食感が保たれた。「安心してお客に食べてもらえる。機械は高額だったけれど、製品の完成度が高まった。菓子作りは損得だけではないからね」と話す。
 社内のクラブ活動は、国体にも出場した軟式野球部をはじめ、管楽器アンサンブルなど活発だ。一方、勤務中は「精進を怠らず、こつこつまじめに働く人材の集まり」だ。「仕事も遊びも一生懸命」という社風がしっかり根付いている。
 取材を終えて
 若いころから茶道をたしなんでいるという。本店をはじめとする各店舗や中札内美術村(十勝管内中札内村)、六花の森(同)に足を踏み入れた際に感じる閑寂さと無駄を省いた美しさ。六花亭を貫いている独特の美的センスはここから来ているのだと納得した。理知的に話し、豪快に笑う。温かみのある人だ。(須藤幸恵)
 (以上、北海道新聞から引用)

本社敷地内には、勤勉さで知られる祖母としさんの胸像がある。
「六花亭の財産は人の勤勉さなんです」と話す小田豊社長=帯広市内

      ■         ■
 私は小田豊社長の講義を、
 北海学園大学経営学部経営学科の
 ニトリ寄附講座でお聞きしました。
 素晴らしい社長さんです。
 六花亭をここまで立派になさったのは、
 従業員は家族というお考えで…
 優秀な社員を育てられたからです。
      ■         ■
 昨年の震災後は、
 どこの企業も大変でした。
 その中で…
 経常利益が前期を60%も上回るのは…
 驚異的です。
 また、北海学園の講義でもお聞きした…
 全従業員の有給休暇消化100%実現は…
 すごいことです。
      ■         ■
 札幌美容形成外科も…
 可愛い従業員は家族と思っています。
 全従業員の有給休暇消化100%実現は…
 退職時にまとめて有給消化でしか実現できていません。
 私も小さいながら…
 経営者の端くれです。
 六花亭製菓様を見習って…
 ゆとりのある職場づくりを進めたいと思います。

“六花亭製菓社長小田豊さん”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    今 病院は人手不足で退職届けをだしても 全部有給休暇を消化して退職することはできません。北海道はおいしい食べ物がいっぱいですね。

  2. 恵理 より:

    六花亭は私の住む帯広の自慢です(*^^*)
    小学生の頃に豊四郎さんの伝記も読みました。

    そして今も六花亭のケーキを二つも食べてしまいました(笑)

    これからも日本中の人に愛されるお菓子会社であってほしいです。

  3. 新米社労士 より:

    経営者のみなさんが、こういうお考えを持っていただければいいのですが・・・

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