医学講座

妊娠授乳中の手術②

 わきが体質の方は妊娠中・授乳中も気になると思います。今までは24時間全部が自分の時間でしたが、赤ちゃんが生まれると、授乳は昼夜を問わず24時間です。労働基準法も赤ちゃんには通用しません。休む間もなく、おっぱいをあげて、オムツを交換して、お風呂にも入れてあげて、それからようやく自分の時間です。ご主人が不規則なお仕事でしたら、なかなか協力してもらえませんね。私も子供が小さい頃に家内からよく文句を言われました。『美容室へ行く時間もない!たまには子供の面倒をみてヨ』『そんなこと言ったって、あんたが美容室に行っている間に、病院から急患が来たって電話があったらどうするの?』
 こんな私でも、子供を風呂に入れるのは、家内より上手でした。最初の子供の時は比較的時間があったので、よく風呂に入れていたと思います。
 妊娠出産によって女性のおっぱいは大きくなります。ふだんAカップでもあまるくらいの大きさでも、BとかC以上になります。おっぱいが大きくなると、ワキの皮膚も伸びます。
 たとえ『母乳で育てないからわきが手術をしてください』と依頼されても、皮膚の状態は手術には向いていません。伸びた皮膚を手術するとシワシワになりやすいのです。
 授乳期間が終わっても子供さんが小さいうちは手がかかります。子供が幼稚園や小学校に入るまでは、一生のうちでもっとも可愛い頃です。その代わり、ちょっと目を離すとケガやヤケドをしたり、事故に遭ったり、誘拐されたりします。女性の一生の中でもっとも多忙な時期です。実家のお母さんに120%(ふだんの家事+患者さんとなるあなたのお世話)手伝っていただくのでしたら話は別ですが、わきが手術を受けても絶対に安静を保てません。小さなお子さんがいらっしゃる女性は、残念ですがキレイに治りません。
 子供さんが小さいうちは、わきが手術は無理です。少なくとも一人でお風呂に入れるようになるまでは手術はガマンなさってください。

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