医学講座

鼻毛の脱毛

 札幌医大の学生だった頃のことです。大学病院の口腔外科で親知らずの手術を受けました。先輩に親知らずを抜いていただきました。まだ20台前半の若い頃です。
 その時に、歯科衛生士さんがブラッシングの指導をしてくださいました。ブラッシング指導を受けたのははじめてでした。
 歯科の診察台に横になって、キレイな衛生士さんに言われました。『はい、こちらの鏡で歯をご覧になってください』
 札幌美容形成外科で使用しているような、大きな丸い鏡を持って自分の歯を見ました。
 鏡の中の私の口を見ると。ゲゲっと!なんと鼻毛が生えていました!しかも両方の鼻から!美人の衛生士さんは、バス法や奥歯の磨きかたなどを親切丁寧に指導してくださるのですが、私は鼻毛が気になり上の空で聞いていました。
 それ以来、私は鼻毛トラウマになり、歯科を受診する時は必ず鼻毛をチェックして切っていました。よく切れる鼻毛鋏を買いました。
 鋏で切って毛先が鋭角なり刺さりやすいためでしょうか?左の鼻だけ、たまに鼻毛が皮膚に刺さって炎症を起こします。年に1~2回軟膏治療を必要としていました。ところが体調が悪かったのか、とうとう2007年1月に、鼻毛が皮膚を貫通して小鼻の上に難治性の毛のう炎をつくりました。マスクで隠していたので気づかれなかったと思いますが、本人には辛い症状でした。
 毛巣瘻(もうそうろう)という、毛が原因でできる病気があります。お尻の割れ目に両方から毛が生えて、それが刺さって炎症を起こす病気です。手術で原因となっている毛を毛根から切除します。私の場合はこれが鼻にできたとても珍しいケースでした。
 ようやく治ったと思ったら、また3月上旬に左鼻に炎症を起こしました。明らかに鼻毛が皮膚に刺さって炎症を起こしています。意を決して、看護師さんに頼み、鼻毛のレーザー脱毛をしました。かなり痛いだろうと覚悟していたのですが、毛がこげる臭いはしたものの、痛みは軽度でガマンできる範囲でした。
 以前に勤務していたクリニックで、10年前に北海道で2台目のレーザー脱毛機を導入しました。この時、ヒゲ脱毛のモニターになり、とても痛かった苦い経験がありました。今回もかなり痛いだろうと目を閉じて頑張っていましたが、冷却ガスが出るタイプのためか痛みは以前とは比べ物にならないほど軽度でした。
 レーザー脱毛の効果は抜群で炎症を起こしていた皮膚も快くなりました。当院の脱毛料金表に‘鼻毛’はございませんが、悩んでいらっしゃる方にはお薦めします。これで長年のトラウマともお別れできるのであれば十分に価値がある治療だと思いました。

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