院長の休日
まどみちおさん
平成22年4月18日、北海道新聞朝刊、朝の食卓の文章です。
朝の食卓
まどみちおさん
医王田 恵子 (主婦・帯広)
何げなく見たドキュメンタリー番組。「息をすることの次に大切なのは、言葉です」。そう語った詩人、まどみちおさんが印象的だった。
まどみちお、という名を知らずとも彼が作詞した『ぞうさん』を知らない者はいない。はるか昔から歌い継がれてきた童謡、とばかり思っていたので、作者がご健在と知って正直なところビックリした。
「鼻の長い生き物は象だけです。他と違うところを指摘するのは、いじめにつながる行為かもしれません。でも子象は、大好きなおかあさんと同じなの、と、とても幸せそうなんです」
へぇーそんな思いが込められていたのか…。幸せがどこにあるのか、を示唆してくれていたのだと、気づかされた。
便利なものがあふれ、豊富な食べ物がある暮らし。いつの間にか、幸せを感ずることに鈍感になっている自分がいた。
不満や不安の陰に隠れている「幸せ」を見つけ出してみよう、そんな気にさせてくれたのだ。
彼の作った詩(うた)で、どれだけ多くの人が笑顔になったことだろう。
4月、真新しいランドセルが躍る季節。♪一年生になったら ともだち100人できるかな♪ そんな歌が聞こえてきそうだ。
もちろん、作詞はまどみちおさん。100歳だ。(主婦・帯広)
■ ■
ネットで検索したところ、
NHKで2010年1月3日に放送した、
~まど・みちお 百歳の詩~
が朝の食卓の医王田さんが
ご覧になったドキュメンタリー番組のようです。
NHKのHPに写真が掲載されていました。
優しそうなおじいちゃんです。
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NHKによると、
平成21年11月16日に100歳の誕生日を
お迎えになられたそうです。
NHKのHPからの引用です。
90歳を過ぎた頃から増えてきたのが、
自らの「老い」を見つめたユーモラスな詩だ。
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妻の認知症が年々進み、
それを苦にして自分も一時うつ病になった。
今年は次男にガンで先立たれるなど、
様々な“老いの哀しみ”と対峙しながら、
まどさんは老いゆく日々を明るく綴り続けている。
100年も生きられると、
辛いことがたくさんあるようです。
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2009年1月23日の日記、
最高の人生とは?に
函館の看護師さんから教えていただいた、
100歳のおばあちゃんの言葉があります。
「100年生きてきたら楽しいことより苦しい時代が多かった。
でも苦しいと感じた時に
必ず目の前に蜘蛛の糸みたいな紐が下りてきて
その紐をたどったら
必ずどん底から這い上がれたと・・・」
だから目の前に本当に蜘蛛の糸が下りてくるわけじゃないけど
自分が不幸なんだとか苦しいと感じたら
目の前に蜘蛛の糸が下りてきていると思って
必ず這い上がってごらんなさい。
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私にも…
たくさんの苦しいことがあります。
不満や不安の陰に隠れている
「幸せ」を見つけ出してみよう、
そんな気にさせてくれたのだ。
という医王田さんの言葉に、
ちょっとしあわせって何かなぁ~?
と考えていました。
100歳のまどみちおさんは、
優しい顔をしていらっしゃいました。