医学講座
立ち耳の手術②
たち耳の手術で一番難しいのが…
あと戻りを防ぐことです。
耳の軟骨は…
白くて硬い組織です。
子どもの耳は柔らかいですが…
年齢を重ねると…
軟骨は硬くなります。
硬い軟骨はバネのように戻ろうとします。
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手術にはいろいろな方法があります。
一般的には…
耳の後ろ(耳介後面じかいこうめん)を切って…
丁寧に止血しながら…
組織を剥離(はくり)して
軟骨を露出します。
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軟骨は白いです。
厚さは…
せいぜい足の親指の爪くらいです。
これに…
薄い膜がついています。
丁寧に操作しないと…
すぐに傷がついてしまいます。
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耳は複雑な形をしています。
微妙な凹凸に…
名前がついています。
正確に耳の絵が描けて…
各部位の名前を正確に言える医学生は…
意外に少ないです。
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北大形成外科で研修医をしていた頃…
学生の臨床実習で…
大浦武彦先生がよく…
ホワイトボードに耳の絵を描かせていました。
私の記憶では…
正確な耳の絵を描けた学生は…
とても少なかったです。
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立ち耳の患者さんは…
対耳輪(たいじりん)という…
高まりの部分が平坦です。
そのため…
耳が立ってしまい…
ミッキーさんの耳になります。
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平らな軟骨を…
裏側から切って…
凸型にする手術です。
反対側の耳が正常なら…
できるだけ反対側に近づけるようにします。
どんなに丁寧に手術をして、
しっかり軟骨を固定しても…
問題なのは後戻りです。
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年齢が高くなればなるほど…
軟骨が硬くなります。
後戻りを防ぐことが大切です。
私は…
後戻りを防ぐために…
ヘアーバンドなどで…
数ヵ月間は耳を圧迫していただいています。
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キズは抜糸した時点では…
しっかりくっついていません。
縫った糸の周囲に…
しっかりとした線維性結合組織ができて…
ちょっと引っ張った程度では…
組織がはがれなくなるまで…
数ヵ月はかかります。
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この間は耳が立たないように…
ヘアーバンドで圧迫していただきます。
これが意外と大変です。
これをしっかりしてくれる患者さんは…
きれいな耳になれます。
手術後のケアーが大切です。