二重・眼瞼下垂
まつ毛の感覚がない
上まぶたの手術後に、
まつ毛の感覚がにぶくなることがあります。
上まぶたを切開する時に、
必ず目頭側に細い神経があります。
細い白い糸のように見えます。
手術用顕微鏡で見るとよく見えます。
神経には、
伴走血管があります。
血管から出血することがあります。
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この神経を損傷すると、
眼瞼下垂症手術の術後に、
まつ毛の感覚がにぶくなくなります。
数ヵ月で少しずつ戻りますが、
『先生、マスカラを塗っても感覚がない』
…と言われることがあります。
私はできるだけこの神経を傷つけないように手術をしています。
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この神経については、
第25回日本形成外科基礎学術集会(大阪)③で、
東京医科歯科大学大学院 形成・再建外科学分野の
東野琢也ひがしのたくや先生のご発表がありました。
O-36
上眼瞼における感覚神経の走行形態に関する解剖学的分析
東野琢也先生のご発表で、
上眼瞼内側の神経は滑車下神経由来の枝だと知りました。
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なんちゃって美容外科医の中には、
そもそも、
こんな神経があることを知らない人がいます。
学生時代の解剖学実習では、
教えない神経です。
形成外科専門医試験でも、
おそらく出題されたことはないと思います。
ベテランの形成外科専門医でも、
この神経を切る先生がいます。
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細い神経を残して、
その神経を傷つけないように手術をするのは、
手間がかかって、
時間がかかって、
もうからない手術です。
私は偏屈でがんこなので、
たとえもうからなくても、
自分のやり方は変えません。
一時的でもまつ毛の感覚がないのは嫌だからです。