医学講座
できない言い訳よりできる工夫
第43回日本熱傷学会(東京)は今日までです。
残念ですが私は診療があるので、
一日目だけ参加しました。
一日目の発表で、
とても印象に残った言葉です。
できない言い訳よりできる工夫
熱傷治療は大変です。
汗だくの重労働です。
医師も看護師も汗だくで処置をします。
■ ■
労働環境や作業内容を3Kと表現します。
きつい(Kitsui)
汚い(Kitanai)
危険(Kiken)
熱傷治療は、
これにもう一つKがつきます。
帰宅できない(Kitaku)
帰れない(Kaerenai)
です。
担当医は泊り込みになり、
担当看護師は業務が終わらなくなります。
■ ■
一人の重症熱傷患者さんは、
他の重症患者さんの何倍も処置時間がかかります。
その上、
呼吸循環動態も不安定です。
ちょっとでも油断すると、
血圧が下がったり、
おしっこが出なくなります。
その都度適切に対応します。
■ ■
もう一つ、
一番大変なのが、
感染との闘いです。
皮膚という、
外界から身体を守るバリアーが無くなります。
重症熱傷で免疫力も低下します。
亡くなる原因で最も多いのが、
感染症です。
■ ■
札幌医大の熱傷患者受入中止問題
2010年2月28日の院長日記です。
重症熱傷の治療はほんとうに大変です。
札幌医大の高度救命救急センターで、
多剤耐性緑膿菌(MDRP)が検出され、
重症の熱傷患者の受け入れを2年以上も休止しました。
大変なことでした。
■ ■
大変な熱傷患者さんの治療は、
嫌われることがあります。
そんな治療引き受けたくない
…という人たちもいます。
治療を引き受けたくないというスタッフがいても、
仕方がないことだと(私は)思います。
過労になってしまいます。
昨日の看護師さんたちは違いました。
熱意と情熱を持って熱傷治療をしていました。
■ ■
私が感動したのは、
交流集会ワークショップ
『熱傷看護におけるカイゼン、創意工夫の取り組みを共有しよう!』
司会:
春成 伸之(横浜市⽴市⺠総合医療センター救急医学 准教授)
豊⾒⼭則⼦(東京⼥⼦医科⼤学⼋千代医療センター看護局看護師⻑)
WS-2重症熱傷患者の消費エネルギー量を抑える工夫と院内感染を予防するための取り組み
帝京大学医学部附属病院 救急科
平山幸枝さん
…のご発表です。
■ ■
発表の中で、
熱傷治療の感染症対策と処置について、
♡できない言い訳よりできる工夫♡をしましょう!
…と看護師と医師が、
力を合わせて、
知恵を出し合って、
話し合いをして、
懸命に治療している姿勢でした。
■ ■
重症熱傷の治療は、
優秀な医師が一人いてもできません。
優秀な看護師が一人いても、
みんなで力を合わせなくてはできません。
理学療法士がかかわって、
リハビリをしっかりすることも重要です。
日本熱傷学会に出席すると、
熱意と情熱を持って治療している看護師さんがいらっしゃいます。
素晴らしいご発表をありがとうございました。