医学講座

できない言い訳よりできる工夫

 第43回日本熱傷学会(東京)は今日までです。
 残念ですが私は診療があるので、
 一日目だけ参加しました。
 一日目の発表で、
 とても印象に残った言葉です。
 できない言い訳よりできる工夫
 熱傷治療は大変です。
 汗だくの重労働です。
 医師も看護師も汗だくで処置をします。
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 労働環境や作業内容を3Kと表現します。
 きつい(itsui)
 汚い(itanai)
 危険(iken)

 熱傷治療は、
 これにもう一つがつきます。
 帰宅できない(itaku)
 帰れない(aerenai)
 です。
 担当医は泊り込みになり、
 担当看護師は業務が終わらなくなります。
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 一人の重症熱傷患者さんは、
 他の重症患者さんの何倍も処置時間がかかります。
 その上、
 呼吸循環動態も不安定です。
 ちょっとでも油断すると、
 血圧が下がったり、
 おしっこが出なくなります。
 その都度適切に対応します。
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 もう一つ、
 一番大変なのが、
 感染との闘いです
 皮膚という、
 外界から身体を守るバリアーが無くなります。
 重症熱傷で免疫力も低下します。
 亡くなる原因で最も多いのが、
 感染症です。
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 札幌医大の熱傷患者受入中止問題
 2010年2月28日の院長日記です。
 重症熱傷の治療はほんとうに大変です。
 札幌医大の高度救命救急センターで、
 多剤耐性緑膿菌(MDRP)が検出され、
 重症の熱傷患者の受け入れを2年以上も休止しました。
 大変なことでした
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 大変な熱傷患者さんの治療は、
 嫌われることがあります。
 そんな治療引き受けたくない
 …という人たちもいます。
 治療を引き受けたくないというスタッフがいても、
 仕方がないことだと(私は)思います。
 過労になってしまいます。
 昨日の看護師さんたちは違いました。
 熱意と情熱を持って熱傷治療をしていました。
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 私が感動したのは、
 交流集会ワークショップ
 『熱傷看護におけるカイゼン、創意工夫の取り組みを共有しよう!
 司会:
 春成 伸之(横浜市⽴市⺠総合医療センター救急医学 准教授)
 豊⾒⼭則⼦(東京⼥⼦医科⼤学⼋千代医療センター看護局看護師⻑)
 WS-2重症熱傷患者の消費エネルギー量を抑える工夫と院内感染を予防するための取り組み
 帝京大学医学部附属病院 救急科
 平山幸枝さん

 …のご発表です。
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 発表の中で、
 熱傷治療の感染症対策と処置について、
 できない言い訳よりできる工夫をしましょう!
 …と看護師と医師が、
 力を合わせて、
 知恵を出し合って、
 話し合いをして、
 懸命に治療している姿勢でした。
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 重症熱傷の治療は、
 優秀な医師が一人いてもできません。
 優秀な看護師が一人いても、
 みんなで力を合わせなくてはできません。
 理学療法士がかかわって、
 リハビリをしっかりすることも重要です。
 日本熱傷学会に出席すると、
 熱意と情熱を持って治療している看護師さんがいらっしゃいます。
 素晴らしいご発表をありがとうございました。

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