医療問題
札幌医大の熱傷患者受入中止問題
昨日の日記に書いた…
小学生の子どもさんが…
札幌→東京まで、
自衛隊機で
搬送されなけれならなかったのには、
大きな理由があります。
札幌医科大学高度救命救急センターが、
2年間もの間、
熱傷患者診療を停止しているためです。
■ ■
札幌市内には、
重症熱傷の治療ができる施設として、
①市立札幌病院、
②北海道大学病院先進急性期医療センター
③札幌医科大学高度救命救急センター
の3つがあります。
このうち最も熱傷治療の歴史が古いのが、
札幌医科大学高度救命救急センターです。
■ ■
私が学生だった30年前から…
札幌医大には、
北海道が作った…
道民のための大学…
道民のための大学病院…
という意識がありました。
札幌医大高度救命救急センターは、
災害外傷部という、
地下にあった救急部がはじまりでした。
■ ■
私が学生の頃から、
札幌医大には、
重症熱傷の患者さんが搬送されていました。
学生実習で…
はじめて重症熱傷の患者さんを見た時…
‘うゎ…すごいなぁ…’
と思ったのをよく覚えています。
まさか自分が熱傷治療をすることになるとは…
夢にも考えませんでした。
■ ■
ロシアから来た…
有名なコンスタンチンくんを治したのは、
私の先輩である阿部清秀先生です。
北海道で、
歴史と実績があり、
高度救命救急センターに指定されている、
札幌医科大学附属病院が、
院内感染の後処理のために、
2年間も重症熱傷患者の受け入れをしていません。
■ ■
医科大学には、
①診療
②教育
③研究
という3つの役割があります。
熱傷治療に関して言えば…
札幌医大で現在行われているのは、
③の研究だけです。
■ ■
昨日の学会でも、
札幌医科大学救急・集中治療学講座と
微生物学講座の…
耐性緑膿菌(たいせいりょくのうきん)についての
素晴らしい研究成果が発表されていました。
昨年夏に…
もし札幌医大病院で、
小学生の子どもさんを受け入れてくれたら…
わざわざ自衛隊機で…
東京まで搬送しなくてもよかったのです。
■ ■
小学生の子どもが…
身内も友だちもいない東京で…
数ヶ月も入院して、
大きな手術を受けなくてもよかったのです。
私はとても残念に思いました。
札幌医大の浅井教授も…
無念の表情をしていらっしゃいました。
大学の教授でも、
組織が決めたことには抵抗できません。
札幌医大高度救命救急センターの
浅井康文教授は立派な先生です。
■ ■
昨日の地方会で、
浅井教授が残念そうに…
札幌医大で治療できなくて、
申し訳ございません。
と話されていたのが印象的でした。
院内感染対策も大切ですが、
2年間も受入停止をする必要性の…
エビデンスレベルがどの程度なのか?
一人の医師として疑問に思います。
■ ■
この院長日記を…
ぜひマスコミの方に読んでいただき、
札幌市と北海道内の…
重症熱傷治療の危機的状況について、
広く世間に知らせて欲しいと思います。
北海道の高橋はるみ知事さん。
もし…
あなたの子どもさんや
お孫さんが…
大やけどをしたら、
東京まで自衛隊機で搬送しますか?
“札幌医大の熱傷患者受入中止問題”へのコメント
コメントをどうぞ
そういう事情で東京搬送になったのですね。
私の息子が同じ立場なら札幌医大にも重度の熱傷治療できる設備や医師がおられるなら どうして近くで診ていただけなくて 東京まで行かねばならないのですか? と訴えると思います。一秒でも早く診て頂きたいと親なら誰でもそう思います。山形県の知事も女性ですが、北海道の知事も女性知事なのですね。
私からも ぜひ 札幌医大でも 重度の熱傷患者を受け入れてくださるようにお願いいたします。
熱傷学会地方会ご苦労さまでした。今年は出席できて良かったです。
私も演題の中で印象に残ったのは、本間先生と同じです。学会終了後、一緒に食事をした先生達も本間先生と同じ意見でした。院内感染対策と救命・・・比べる事はできない問題です。
70%も熱傷というのは生命に危険がある状態ですよね。管理の整った、北海道の3次救急→満床なら三次に近い二次救急病院が適切だと思います。
三次医療である大学病院の救命救急センターは何床かはベッドコントロールして空けて置き重症の患者様を受け入れて治療にあたるのが役割だと思うのですが… 。
2年間は受け入れが出来ない又は、3人重症の熱傷の患者様がいらっしゃって、緑膿菌などの院内感染も大事ですが、主要病院が役割を果たせなくて東京まで搬送しなきゃいけない状況があったのはまずい気がします。
二時間位の間に熱傷によって血液を含めた体内の水分が失われ、体温や血圧の変化もしやすく生命に危険がある状況かと推測しました。
北海道の三次救急医療体制のあり方を地域全体で見直していかなければならないと思いますし、医師不足があるのでしたら知事が厚生省や政府とも連携して改善して貰うよう働きかけも必要ですね。