医学講座
痛くない抜糸法
2009年8月22日に
抜糸の痛みという日記を書きました。
現在の医学部では、
OSCE(おすきー)という実習があります。
ここで一通りの縫合法と抜糸を習います。
残念なのは…
医学生が練習するのは、
縫合も抜糸も模型です。
模型は痛いと言ってくれません。
痛くない抜糸を習得するには、
上手な先生について修行を積むことです。
と書いてあります。
■ ■
平成22年2月15日で…
3日間にわたる…
過酷な医師国家試験が終わりました。
受験生のみなさんお疲れ様でした。
これから医師免許を取得する…
医学生のために…
医師免許を持っているけど…
抜糸の度に…
患者さんに痛いと言われている、
先生のために…
特別に企業秘密を公開します。
■ ■
痛くない抜糸をするためには…
まず、
キズをキレイに縫合することです。
どんなに上手な先生でも、
がちがちに縫われた糸は、
抜糸する時には痛いものです。
上手な先生は…
抜糸のことも考えて縫います。
キズを縫合する時には、
きつく縫わないことです。
■ ■
2009年4月5日に
縫い方の練習という日記があります。
私が形成外科の教員をしていた時期に、
縫合法を教えたことがありました。
医学部6年生で、
形成外科を選択してくれた学生さんへ、
私が縫い方を教えました。
一週間以上教えて…
ようやく、
ある程度できる人がいた程度でした。
この時に抜糸法も教えました。
■ ■
2007年4月23日に、
何針縫いました?という日記があります。
一番大切なのは、
皮下縫合と言って
皮膚の下で縫ってある糸なのです。
正確には真皮縫合(しんぴほうごう)と言い、
真皮の中で縫ってあります。
透明な糸や白い糸を使うので
表面からは見えません。
この真皮縫合で
いかに正確に
ピッタンコに合わせられるかどうかが
術者の‘腕’です。
■ ■
長くなりましたが、
痛くない抜糸は、
まずキズを真皮縫合でしっかり縫い、
抜糸する糸は…
ナイロン糸でゆるめに縫うだけにします。
ゆるめに縫ってあるので…
糸を引っぱらなくても…
鋏で糸を切れます。
糸を引っぱると痛いので、
最初に引っぱらないで糸を切って…
最後にそっと引き抜くのが…
痛くない抜糸のコツです。