医学講座
『ほくろ』と悪性黒色腫の見分け方
さくらんぼさんからご質問をいただきました。
素人の私たちはただの『おでき』と思いがちです。
どんな事で見分けて病院に行けば良いのかわかりません。
神経質過ぎて
私みたいに『こんなことくらいで来るな』
とか言われても嫌だし(笑)
見極めがわかりません。
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結論から言うと…
『ほくろ』と悪性黒色腫は、
皮膚悪性腫瘍を専門とする医師でも、
難しいことがあります。
特に早期の小さな(薄い)病変を…
肉眼だけで的確に診断するのは、
極めて難しいことがあります。
■ ■
昨日の日記でご紹介した、
日本皮膚科学会HP に…
ダーモスコピーのことについて書かれています。
ダーモスコピーについては、
東京都荒川区(新宿ではありません)の
東京女子医大東医療センター皮膚科の
田中勝先生の解説があります。
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ダーモスコピーという、
特殊な拡大鏡を使って、
皮膚科専門医が見ても難しいのが、
悪性黒色腫の鑑別診断(かんべつしんだん)です。
日本人に多いのは、
足の裏などにできる…
悪性黒色腫です。
肢端黒子型メラノーマ(ALM)と言います。
■ ■
私のおすすめは、
もし足の裏に黒い『ほくろ』があったり、
身体のどこでも…
見慣れない『ほくろ』を見つけたら、
まず皮膚科専門医を受診することです。
悪性黒色腫ではなくて…
ただの『ほくろ』でも
‘水虫’が見つかって…
治療できることもあります。
■ ■
先生の中には、
こんなことくらいで来るな
という人がいるのも事実です。
でも…
ほんとうの‘名医’はそんなことは言いません。
診断に苦慮した経験がたくさんあるはずです。
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医師や医学生が読む、
教科書には次のように書いてあります。
形成外科医に必要な
皮膚腫瘍の診断と治療
山本有平(北海道大学形成外科教授)編集
分光堂、2009年4月22日、第1版発行
定価(本体16,000円+税)
ISBN:978-4-8306-2630-2
より引用
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末端黒子型(acral lentiginous melanoma:ALM)
50歳代以降の足底・指趾爪部に好発する。水平方向増殖は数ヵ月~数年である。紫外線とは無関係で反復する機械的刺激や外傷が誘因と考えられる。
日本人や黒人に多い病型で日本人の約40%を占める。従来白人に少ないとされていたが、末端黒子型の症例数に人種差はなく、白人では紫外線照射に関連した表在拡大型の症例数が多いために、相対的に少ないと考えられる。
執筆者
影下登志郎、影下皮膚科クリニック院長
ありがとうございます。できれば(可能なら)『ほくろ』と『悪性黒色腫』の比較写真など掲載していただければと思います。背中などはなかなか気がつき難いし、老人(父など)はおかしなほくろでもないできものがあちこちに出てくるようになりました。年よりだからというだけでは片付けられないこともあるのですね。気になったら専門医ですね。
追記
こんな事くらいで来るなと言われたことは事実である先生にその事を話しましたら、今医師は忙しく 大学病院・総合病院などはそれぞれの役割がありそのくらいの病気では来るまでではないので個人クリニックで十分だと言われた事がありましたが、ほんとに素人ではわかりにくい症状の事もあり、どうしたらよいかわからなくなる事もあるのも事実です。
TV番組で「悪性のほくろ」また新聞などで取り上げられると・・・続けざまに「ほくろ」の患者さんが受診されます。
あっこれは何かに取り上げられたんですね・・・と理事長とお話します。ほとんどの患者さんはいわゆる「ほくろ」と診断されて安心して帰られますが・・・。
中には・・・「うう〜〜ん」と悩み・・・ダーモスコピーでじっくり診て厚生病院形成外科に添書を書く事もあります。
皮膚科の医師達の中では7mm以上になると切除いたほうが良いとなっています。
足裏に黒子があるのでドキっとしました。
検査受けといた方がいいのかなぁ。
ほくろと言えども侮れませんね。思わず身体中見てしまいました・・・今のところ大丈夫そうです。貴重な情報ありがとうございます。