医学講座

傷の消毒2011

 よく勉強している看護師さんほど…
 傷を消毒するのは古い
 傷を消毒してはいけない
 傷は生理的食塩水で洗う
 …と考えています。
 1990年代に、
 傷を消毒してはいけないという考えが、
 広く啓蒙されました。
      ■         ■
 この傷の消毒について、
 新しい考えが出てきています。
 第37回日本熱傷学会の、
 ランチョンセミナーで、
 東北大学形成外科の、
 館(たち)正弘教授から、
 皮膚創傷面の細菌感染
 バイオフィルムに対する最新の管理方法
 を教えていただきました。
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 館(たち)教授は、
 東北大学のご出身です。
 聖路加国際病院で外科研修をなさった後、
 東京大学形成外科に入局されました。
 波利井清紀先生のお弟子さんです。
 東大形成外科から、
 帝京大学形成外科講師、
 東北大学形成外科助教授となられ
 東北大学形成外科教授に就任されました。
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 ランチョンセミナーの座長をなさった、
 波利井先生がとても嬉しそうにご紹介されました。
 館(たち)先生は信頼できる形成外科医です。
 館先生の東北大学では、
 難治性皮膚潰瘍などの、
 皮膚創傷面の細菌感染の研究をされています。
 今回のランチョンセミナーでは、
 消毒剤の使用について…
 とても有意義なお話しを伺いました。
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 ネットでキズのことを検索すると、
 新しい創傷治療のページとか、
 ラップ療法のページが出てきます。
 このネットの情報を鵜呑みにして…
 傷がとんでもない状態になって…
 私のところへいらした赤ちゃんがいました。
 全国的には、
 やけどが重傷化してしまった例もあります。
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 ネット上の情報は、
 確かに目につきやすいですが、
 かたよった考えや、
 行き過ぎた考えもあります。
 誰も検証できず、
 被害者になっても補償は受けられません。
 日本熱傷学会でも問題になっています。
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 館先生のご研究によると、
 汚染創に消毒剤を用いるのは、
 有益です。
 消毒すると細胞が死ぬので良くないというのは、
 培養された細胞であって、
 生体の汚染創に消毒剤を使うのは、
 正しい方法だと教えていただきました。
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 座長の波利井先生からは、
 難治性の緑膿菌感染には、
 マーキュロクロムという赤チンが有効であると、
 とても参考になることを教えていただきました。
 キズを消毒するのは古い考えではなくなり、
 古くからある良い方法であると、
 認識を新たにしました。

“傷の消毒2011”へのコメント

  1. らずべりー より:

    本間先生、昨日のお題のコメント欄に書いてしまいましたm(._.)m

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    こちらへコピーしました。
    傷が深い、範囲が広い、血液や浸出液がかなり多くて感染に近い状態、感染している場合は、排液出来る状態にしないといけないと思います。(浸出液や付いてる軟膏を生理食塩水、又はぬるま湯で洗い流すなど)

    ラップ療法は、浸出液が殆どない、或いは無く感染状態になく、傷の治りを手助けするのに(軟膏を併用し)効果があるという印象です。
    消毒は、医師によって意見が分かれると思われますが、個人的には創の状態によると思います。

  2. らずべりー より:

    本間先生ありがとうございます。

  3. さくらんぼ より:

    昔は赤チンがどこの家庭にもありましたが、いつの頃から見かけなくなりましたが、。 市販されているのかもわかりません。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございました。私も売ってないものだと思っていましたが、日本薬局方マーキュロクロム液として、楽天でも売っていました。

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