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形成外科と‘宣伝’

 昨日、市立札幌病院で‘広報さっぽろ’に形成外科の宣伝を載せてもらった話しを書きました。なんで市立病院の先生が宣伝なんかするの?宣伝しなくても、病院はいつ行っても何時間も待たされるじゃないの?と思われた方(先生)も多いと思います。
 今の若い先生に話しても信じてもらえないかも知れませんが、私が形成外科医になった25年前には、宣伝しないと患者様は集まりませんでした。
 そもそも、私が北大形成外科に入局すると決めて、親が知り合いに『息子は形成外科に入りました』と言っても『はぁ?整形外科ね』とか『形成外科?美容整形?』なんて反応が多かったものです。
 私の恩師、大浦武彦先生が北大病院で形成外科をはじめた頃は、苦労して苦労して形成外科を啓蒙されました。医師会の講演会や市民講座など、あらゆる機会を利用して形成外科を広められました。
 北大の関連病院で、一番最初に形成外科を作っていただいたのが旭川厚生病院の菅野(カンノ)院長先生です。北大の先生が旭川に出張して手術をしていました。関連病院を増やすのも大変で、病院長の理解はもとより外科系の先生のご理解がなければできませんでした。形成外科ができるということは、自分の科の患者さんが減ることにもつながりかねません。患者をとられたら困ると思えば形成外科なんて作りませんし紹介もしません。
 私が30代に勤務した函館中央病院では、外科の藤井正三院長が、自らたくさんの患者様を形成外科に紹介してくださいました。『形成外科で手術してもらった方がキレイに早く治るから…』と紹介してくださいました。私たち形成外科医は、それこそ一人ひとりの患者様を大切にして、失礼ながら一人ひとりが‘歩く広告塔’だと信じて手術をしました。
 一人でも多くの患者様をキレイに治して、おばあちゃんにも『形成外科さぁ行ったらぁ、はぁ、キズがなぁ、キンレイに治るんだわぁ~』と言われて大満足していました。
 私がキズにこだわるのも、キレイに治すのに命をかけているのも、北大形成外科の先輩の教えです。
 昨夜、北大形成外科の集まりがありました。25年前と比べると全員歳をとって、頭に白いものが増えましたが、親兄弟に会って話すような懐かしい楽しい時間でした。

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