医学講座

熱傷学会②

 ヤケドをキレイに治すにはできるだけ早く専門医にかかることが大切です。自分でアロエを塗って治るヤケドもありますが、ある程度深く焼けるとアロエでは治りません。
 ステーキを注文すると焼き加減を聞かれます。レア、ミディアムレア、ミディアム、ウエルダン。ヤケドもⅠ度、浅達性Ⅱ度、深達性Ⅱ度、Ⅲ度と分類されます。日焼けしてピリピリ痛いのがⅠ度、水胞ができるのがⅡ度、炎で皮膚が全部焼けてしまったのがⅢ度です。Ⅰ度なら痕が残らないと言われていますが、赤みがある間に紫外線に当てると‘炎症後色素沈着’というシミになります。
 このシミだって立派なヤケドの痕です。キレイに治すには赤みがある間は光に当てないようにします。札幌美容形成外科ではカバーマークという化粧品をお薦めしています。もともと子供のアザを隠すために開発された商品です。私が医師になった25年前からありました。デパートで売っているカバーマークとは違い、専門の美容室やクリニックでしか売っていません。市販の日焼け止めより抜群に効果があります。ゴルフなどの時でもばっちりです。
 今日の熱傷学会でbFGF(ベーシック・エフジーエフ)という薬がヤケドをキレイに治すという発表がありました。もともと褥瘡や難治性潰瘍というキズを治すために開発された薬です。遺伝子組み換えのバイオ技術で作った製品です。
 この薬を子供のヤケドに使ったところ、普通なら絶対に痕が残るヤケドなのにキレイに早く治ったのです。すごいことです。親も子供も喜びます。
 学会で早くキレイに治ることがわかっても、保険診療でこの薬をヤケドに使うことができません。厚生労働省が認可していないからです。もっと悪いことに、薬の説明書にはヤケドにも子供にも使わないようにと記載してあります。
 もし私が自分でヤケドをしたら、保険外でもこの高価な薬を必ず使います。保険医療機関で使うには、初診料から処置料まですべて自費で払わないと使えないのです。一本一万円以上もする薬ですから、国が簡単に認めるとは思えません。
 美しい国日本の保険医療制度にはたくさんの問題があります。安倍首相やご親戚の子供がヤケドをしても、この薬は保険診療では使えません。なんとかして欲しいものです。

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