医学講座
第55回日本形成外科学会(東京)②
私が熱心に聴いているのは…
眼瞼下垂症についての発表です。
今回の学会では、
ガイドラインシンポジウムがあります。
日本形成外科学会として、
治療指針を作成するため討論会です。
■ ■
4月11日(水)9:00から、
信州大学形成外科の松尾清先生が座長で、
眼瞼下垂症ガイドラインシンポジウムがありました。
シンポジウムを聴いた感想…
眼瞼下垂(がんけんかすい)の診断一つにしても、
難しいです。
診断基準を決めることすら…
かなり難しいです。
■ ■
ガイドラインを決めるには…
エビデンス(証拠)が確かな論文が必要です。
このエビデンスがある論文がないのです。
シンポジストの先生は、
全員、大変苦労して調査されました。
世界中探しても…
しっかりとした証拠がある論文がありません。
■ ■
ですから…
眼瞼下垂症の診断には…
これこれの検査で…
瞳孔と瞼(まぶた)の距離が…
何ミリ以下だったら…
眼瞼下垂症ですという診断基準がありません。
■ ■
どの程度の眼瞼下垂症には、
どんな手術をすると改善するか?
ガイドラインがあると便利です。
ところが…
症状も人によって異なり、
視力も違います。
■ ■
ドライアイの人もいれば、
なみだ目の人もいます。
なかなか統一した基準を作るのが難しいです。
大学で専門に研究をしている先生でも、
診断基準は微妙に違います。
■ ■
再発の問題もあります。
術式によっては…
再発率が20%もある手術があります。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)という病気があります。
ボトックス注射が効きますが、
一度注射すればずっと効くのではありません。
対症療法として有効という結論でした。
まだまだ研究が必要な病気です。