医学講座
第119回日本美容外科学会(東京)②
第119回日本美容外科学会で印象に残った発表です。
日本医大形成外科、長嶋有紀先生の、
乳房注入異物の画像診断(ワセリンからヒアルロン酸)まで
おっぱいを大きくしたいという…
女性のお気持ちは理解しているつもりです。
それにしても…
患者さんも…
ちょっと考えてくれたらよかったのに…
ひでーことをしやがる医者や
わけのわからないものを入れる医者がいるもんだ
…と感じました。
■ ■
日本医大形成外科・美容外科は、
昔から注入異物の研究に熱心です。
私も…
おっぱいに入れた異物を…
取り出す手術をしたことがあります。
形成外科勤務医をしていた時代です。
乳線外科の先生は、
おっぱいの異物除去はなさらないようです。
■ ■
昔注入されたシリコンを摘出すると、
手も手術器械もシリコンだらけになります。
シリコンが手につくと、
ベタベタになります。
床に落とすと…
床が滑って危険です。
シリコンが入った充填剤がすべるのと同じです。
■ ■
医師ではない人が、
もぐりで注入するのもあるようです。
中国製の【奥美定】という名前の注入剤も
長嶋有紀先生のスライドにありました。
自分の身体に…
得体の知れない物は入れないでください。
ヒアルロン酸注入豊胸も安全だと思わないでください。
■ ■
日本医大形成外科では、
CT、MRIなどの画像診断で注入異物を検査して、
実際に手術で取り出した異物の解析と照合しています。
MRIでこんなふうに写ると…
中に入っているのはシリコンの疑いがあります。
ポリアクリルアミドだとこんな画像になります。
…という研究をなさっています。
■ ■
今回の学会発表で私が驚いたのは、
安全といわれているヒアルロン酸を注射したおっぱいは…
専門家が見ても…
初期の乳がんとの鑑別が難しいということです。
ヒアルロン酸は吸収されるから安全というのは…
どうやら間違いのようです。
■ ■
ヒアルロン酸を注入する時に、
何箇所にも分けて注入する方法があります。
丸くて形の良いおっぱいを作るためです。
その何箇所にも分けていれたヒアルロン酸…
小さな丸い白い陰になって写ります。
これが…
初期の乳がん診断のじゃまになります。
■ ■
乳がん検診を受ける時に…
『私、昔ヒアルロン酸を注射しました』
…と言う人はいませんね。
『えっ?何回いれたか…?』
『覚えてません』
『だってヒアルロン酸って吸収されるんじゃないんですかぁ…?』
『すぐにしぼんじゃったしぃ…』
『え~ん、ぇ~ん』
『私、乳がんで死んじゃうんですかぁ…?』
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なんてことにならないように祈っています。
吸収されると思っていたヒアルロン酸豊胸で…
乳癌の発見が遅れるなんて…
どこの美容外科のHPに書いてありました?
不安になった方は、
文京区千駄木の日本医科大学付属病院形成外科です。
ケロイド治療でも有名な病院です。
第8回瘢痕・ケロイド治療研究会でご紹介しました。
日本医大形成外科、長嶋有紀先生は、
信頼できるやさしい女性の先生です。