医学講座
赤字の市立札幌病院、経営改善目指す検討会始まる
平成30年4月19日、朝日新聞朝刊の記事です。
赤字の市立札幌病院、経営改善目指す検討会始まる
札幌市中央区の市立札幌病院(関利盛院長、747床)で、経営健全化を目指す専門家による検討会が始まった。同院の経常収支は昨年度を含め4年連続の赤字が見込まれており、累積赤字は約98億円とみられる。赤字体質からの脱却と公的医療機関としての役割の見直しが求められている。
4月17日に開かれた専門家検討会には、大学や市医師会、民間医療機関などに病院関係者が加わり計9人が参加。検討会長に特定医療法人柏葉脳神経外科病院の金子貞男理事長を選び、経営健全化策となる「次期中期経営計画」の策定に向けたスケジュールや病院に求められる役割、病院を取り巻く環境について説明があり、意見交換が行われた。
病院の担うべき役割について、周産期医療や精神科救急などが挙げられ、民間医療機関ではできない政策医療は外せないが、採算性の維持が課題との認識の共有がはかられた。2回目からは経営指標を元に具体的に議論していくことが確認された。
市立札幌病院は2014年度に赤字に転落して以来、累積赤字が92億8200万円(2016年度決算)まで膨らみ、今年2月には補正予算を組んで一般会計から運転資金として27億円を借り入れた。2016年度の決算審査意見書には「経営の悪化に歯止めがかからない」との一文が盛られた。
単年度では、2014年度に10億4600万円の赤字に転落して以来、2015年度12億9900万円、2016年度16億6700万円と3年連続の赤字を計上。2017年度も約11億1千万円の赤字が予想されており、2016年度末には4億5千万円の資金不足に陥った。これは1995年に現在地に病院が移転して以来のことという。
病院側が一因としてあげるのが全国的に問題となっている「消費税増税と診療報酬の改定」だ。病院側が仕入れる物品には消費税がかかるが、公的保険の医療サービスは消費税がかからない。その分は医療機関が負担することとなり、大きな病院ほど負担が重くなるという。
また、2016年度の1日当たりの外来患者数は2012年度比で8.7%(152人)減、同入院患者数は12.8%(77人)減と利用者の減少も進んでいる。
病院は一昨年度から経営健全化に取り組み、紹介患者や救急車の搬入患者を増やすなどした。さらに昨年12月には、病床規模の適正化の取り組みとして、8階東病棟を丸ごと休床とし、稼働病床数を44床減らして703床とした。
市病院局経営企画課によると、2016年度の病床利用率は2012年度比で4ポイント減の70.3%だが、入院患者数が減っているので、空きベッドを集約して効率性を高めるという。
専門家検討会も対策の一つで、病院側には6月から千葉大医学部付属病院副病院長で、戦略的病院経営に関する著書がある井上貴裕氏が参与として参加する。
検討会は月1回ペースで11月までに6回開かれ、報告書をまとめる方針。金子会長は「スケールメリットを生かせば救急などは黒字になるだろう」とし、「公立病院としてしなくてもいいこと、外せないことをはっきりさせて課題を解決させられれば」と話した。
<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>
(戸谷明裕)
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
私は市立札幌病院で生まれ、
医師としての青春時代を市立札幌病院で過ごしました。
自分の実家のような、
市立札幌病院です。
現在の院長、関 利盛先生は、
私と同年代です。
院長がお気の毒です。
■ ■
院長を弁護するわけではありません。
市立札幌病院が赤字なのは医療制度が原因です。
市立札幌病院の近くには、
イオン桑園店があります。
大きなマンションがたくさんできました。
残念なことに、
近くの住民が市立札幌病院にかかりたくても、
紹介状がないと5400円も取られます。
■ ■
市立札幌病院は、
札幌市民の病院として広く利用されてきました。
国の医療政策のために、
赤字になったと私は考えています。
全国の多くの自治体病院が赤字です。
北海道では、
黒字の自治体病院を見つけるのが大変なくらいです。
■ ■
専門家検討会が、
どのような方針を出すかわかりませんが、
札幌市民の病院として、
札幌市民が通院しやすい、
高度の治療ができる、
黒字の病院になってほしいです。
63歳の市立札幌病院OB医師は心配しています。