医学講座
大阪高裁、タトゥー彫師に逆転無罪
平成30年11月15日、北海道新聞朝刊の記事です。
大阪高裁、タトゥー彫師に逆転無罪
「医療行為に当たらず」、大阪
医師免許を持たずに客にタトゥー(入れ墨)を施したとして医師法違反の罪に問われた大阪府吹田市の彫師増田太輝被告(30)の控訴審判決で、大阪高裁は14日「タトゥー施術は医療関連性を欠いており、医師法上の医療行為に該当しない」とし、罰金15万円とした一審大阪地裁判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。
判決理由で西田真基裁判長は、タトゥーは歴史や現代社会における位置付けに照らすと装飾的、象徴的な要素や美術的な意義があり「医療目的の行為ではない」と指摘。施術に求められるのは美的センスやデザインの素養で、医学的技能を基本とする医療業務とは根本的に異なり「医師に施術を独占的に行わせるのは相当ではない」とした。
公判で弁護側は、彫師に医師免許を求めるのは職業選択や表現の自由を侵害し違憲だと主張。この点について判決は「タトゥー施術に医師法を適用すると職業選択の自由との関係で疑義が生じる」と言及したものの、憲法違反かどうかの判断は示さなかった。
昨年9月の一審判決は、医療行為に当たると認め「皮膚障害やアレルギー反応など、医師でなければ保健衛生上の危害が生じる恐れがある」とし、有罪としていた。
判決によると、2014年7月~15年3月、自宅兼スタジオで、針を取り付けた施術用具を使い、女性客3人の腕などに色素を注入した。被告は15年8月に略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けたが、納付を拒否して正式裁判となった。
タトゥー彫師逆転無罪の判決要旨
医師免許なしでのタトゥー(入れ墨)施術が違法かどうかが争われた医師法違反事件の大阪高裁判決の要旨は次の通り。
【主文】
原判決を破棄する。被告は無罪。
【医師法上の該当要件】
医師法上の医療行為は、治療や保健指導のために行われる行為と解釈される。(健康被害などの)保健衛生上の危害が生じる恐れがあっても、治療や保健指導と関連がない場合、医師法上の処罰の対象外と位置付けられる。タトゥー施術は医療関連性を欠いており、医師法上の医療行為に該当しない。
【医師による施術の現実性】
タトゥーには装飾的要素や美術的な意義、社会的な風俗としての実態があり、医療目的の行為ではない。施術に求められるのは技術や美的センス、デザイン素養で、医療従事者の業務とは異なる。医者が彫師業を行うことは現実的に想定し難い。
【職業選択の自由との関連】
タトゥー施術に医師法を適用すると(彫師に医師免許が必要になり)憲法が保障する職業選択の自由との関係で疑義が生じる。このことからも、タトゥー施術が医療行為と関連性を欠くと解釈することが妥当だ。
【健康被害の恐れへの対処】
タトゥー施術に医師法が適用されないと解釈すると、規制が存在しないことになるが、施術で起きる恐れのある保健衛生上の危害は、業界による自主規制や行政指導等で対処するのが相当だ。
【結論】
医師以外のタトゥー施術を医師法で禁止することは非現実的な対処法と言わざるを得ず、そのような医師法の解釈は合理性がない。一審判決の判断は維持し難く、破棄は免れない。被告に無罪を言い渡す。
(以上、北海道新聞より引用)
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私は形成外科医として、
刺青を取ってほしい人の相談を受けたことがあるので、
刺青自体には賛成ではありません。
個人の責任で、
個人の自由だと思います。
ただ刺青ではなく、
アートメイクには、
薄くなる色素で入れるのは賛成です。
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いわゆる墨を入れるのではなく、
お化粧の延長として、
薄くなって消える色素を入れるのは、
いいことだと思います。
大阪高裁の判決にある、
タトゥー施術は医療関連性を欠いており、
医師法上の医療行為に該当しない。
…という考えに賛成します。
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一日も早くアートメイク立法を!
アートメイクの電話取材
アートメークに国家資格を2015
アートメイクと医師免許
私の院長日記でアートメイクを取り上げています。
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人間の身体に針を刺せるのは、
医師や看護師だけではありません。
日本には、
鍼灸師しんきゅうし
…という国家資格があります。
私も五十嵐治療院
…で針をしていただきました。
滅菌された使い捨ての針を使います。
アートメイクが合法的にできる日が来ることを願っています。
私の2017年2月16日の院長日記にコメントをいただいた、
森本チヅ子様、
…のことが忘れられません。