医学講座
美容医療事故の保険適用
今日は2022年5月1日(日)です。
第65回日本形成外科学会で討論された、
美容外科の合併症・後遺症は形成外科医が診るべきか?
…についての私の見解です。
日本形成外科学会としての見解ではありません。
私の個人的な意見です。
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美容外科の事故と健康保険
2021年10月3日の院長日記です。
第44回日本美容外科学会(大阪)で、
美容外科手術を受けた患者さんが、
重篤な感染症になったという話しを聞きました。
めったにないことですが、
脂肪吸引の後に重篤な感染症になった例があります。
米国形成外科学会誌に、
Toxic Shock Syndrome after Suction Lipectomy.
Plastic and Reconstructive Surgery:Vol 106(1)July 2000 p204-207.
…として症例報告が載っています。
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今回聞いた事故も、
救命救急センターで助かったそうです。
一命をとりとめていただき、
救急の先生に感謝いたします。
今年、聞いたのは、
その治療費のことです。
美容外科の手術が原因なので、
保険適応にならず、
1千万円以上の治療費が美容外科に請求されたようです。
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正確に言うと、
第三者行為による傷病(事故)届と言います。
交通事故に保険がきかないのと同じです。
交通事故は加害者が加入する、
自動車賠償責任保険で治療費が払われます。
美容外科医療で事故が起きると、
治療費は事故を起こした美容外科に請求されます。
個人のクリニックだと大変です。
若い先生への助言です。
脱税と死亡事故だけはするな
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問題なのは、
責任をとるべき美容外科が倒産してしまった例とか、
海外の美容外科で手術を受けた例などです。
脂肪吸引の医療事故2016
医療事故情報センターニュース
2016年4月1日発行 N0.337(5)
佐賀県弁護士会の福島和代先生の報告です。
この事故では、
美容外科を経営していた医療法人が倒産してしまいました。
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美容医療の事故は、
脱毛クリニックでのやけどから、
大手美容外科で脂肪吸引をした後の死亡事故まで、
さまざまな事故があります。
ふつうの医師賠償責任保険では、
美容を唯一の目的とした医療は保険が使えません。
いくつかある美容医療共済制度でも、
保険金が出ない場合があります。
医師個人の責任になります
若い先生にはくれぐれも気をつけていただきたいです。
安易になんちゃって美容外科医になるのは危険です。