医学講座
罵詈雑言の力
今日は2023年7月13日(木)です。
本州で異常な猛暑日が続いています。
猛暑お見舞いを申し上げます。
札幌も暑いですが、
まだマシです。
夜は涼しいので眠れます。
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昨日の北海道新聞朝刊、朝の食卓に、
とてもいい記事が出ていました。
朝の食卓
罵詈雑言の力 斎藤真知亜
東京芸大の付属高校(芸高)に通っていた44年前。全国から集まった俊英の中で、自分に自信をなくしていた時のことです。「ここで芽が出なかったら、音楽の道は諦めるしかない」とうわさされ、「ポンコツ再生工場」とも称された名匠の門をくぐりました。
忘れもしない初レッスンでの師匠の第一声は「よく芸高に入れたね、こんな下手くそは初めてだ」。自分は下手だと分かっていますが、結構傷つくものです。バイオリンの技術の一つである「ビブラート」を教わり、次のレッスンまでにできたら、門下生にしていただく約束で、先生のお宅を辞しました。
以降、毎回「次までに新しい課題ができなったらクビッ」と言われながらのレッスン通いです。僕は楽しくて楽しくて仕方がなくなりました。次のレッスンが約束される限りは、音楽を続けていいと認められたわけですから、こんなに頑張れることはありません。
半年後。実技の成績は最下位からトップヘと急上昇しました。それでも、師匠は相変わらず僕を叱り飛ばします。
そんな日々を6年半過ごすと、不思議なことに、大学は首席で卒業。芸大オーケストラの定期演奏会ではソリスト(独奏者)です。演奏会後、師匠からのはなむけの言葉は「おまえ、相変わらずヘタクソだな」でしたが、僕には笑っているように見えました。
若い頃に浴び続けた罵詈雑言。振り返ってみると、そのおかげで、今も反省と精進を続け、進化できていると思うのです。感謝。
(バイオリニスト・洞爺湖)
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罵詈雑言ばりぞうごん
難しい言葉です。
ネットで調べると、
きたない言葉で、悪口を並べ立ててののしること。また、その言葉。罵詈ばりは口ぎたなくののしること。雑言ぞうごんはいろいろな悪口や、でたらめな言いがかり。「言」は「げん」とも読む。
…と書いてありました。
美しい音楽と私は無縁です。
どの道もきびしいものです。
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私が形成外科医になりたての頃は、
罵詈雑言はありませんでしたが、
きびしく育てていただきました。
学会前の予演会よえんかいというカンファレンスでは、
スライドをほぼすべて直されたこともありました。
そのおかげで学会では恥をかかずに済みました。
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手術も上手ではありませんでした。
本間、時間かかりすぎ!と言われました。
手術室に申し込んだ予定時間をオーバーすることがよくありました。
麻酔科の先生と、
手術室の看護師さんに、
申し訳ありません、
すいません、
…を連発していました。
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美容外科を志したものの、
ストレスの毎日で胃に穴があきそうな先生がいると思います。
それが当たり前なんです。
最初から上手な人なんていません。
形成外科医や美容外科医で、
おまえ相変わらずヘタクソだなと言う先生はいません。
でもヘタクソな先生がやると患者さんから苦情が出ます。
受付さんから手術が回ってこなくなります。
チェーン店の美容外科医も大変だと思います。