医学講座
黙って手を握っていてやれ!
今日は2024年11月1日(金)です。
札幌は小雨でしたが自転車で来ました。
今年も残すところあと2ヵ月です。
元旦の地震にはじまり、
いいことがありません。
大谷翔平さんがワールドシリーズで優勝し世界一になりました。
あと2ヵ月、いいことが続くように願っています。
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2024年11月1日、北海道新聞、いずみへの投稿です。
忘れられない言葉
苫小牧の発電所を建設する現場事務所で、ひと夏働いた。当時26歳。受注した三菱重工業の事務員だったのだが、われながら世間知らずの小娘だった。
とび工、鉄工、溶接工、塗装工など、何百人いても女は私1人である。職人たちは口調が乱暴で、みな我が強かった。特に鉄工の親方は気難しく、いつも不満顔でたばこを吸っている。
ある日、仕事を終えた職人が「かかあはガキを産むのに入院したし、キャバレーにでも行くか」と言った時、「バカヤロー。黙って手を握っていてやれ!」と言ったのである。
私の心は跳び上がった。苦しい時、手を握っていてくれたら、どんなに安心だろう。だが、意外な人が言ったので驚いた。人は見かけで判断できないものである。職人たちも、口は乱暴だが気は優しかった。
工事は予定通り進み、下請け会社はそれぞれの会社に戻り、職人たちも次の現場に去った。あとは発注元に、建物を納品するだけになった。
主任技師が「煙突に登ってみますか」と言ってくれた。喜んでらせん階段を上がった。地上100メートル以上。視界360度。遮るものは何もなかった。知らない者同士が心を一つにし、火力発電所を完成させた。そのことに私は感動した。この現場で多くのことを学んだ。感謝である。
上空は風が強かった。ヘルメットに吹く風の中に職人のさざめきが聞こえたように感じた。
池本美智子(いけもと・みちこ 80歳・無職)=札幌市白石区
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朝からいいお話しを聞かせていただきました。
池本美智子さんに感謝いたします。
地上100メートル以上の煙突に、
らせん階段を上がるのもすごいと思いますが、
鉄工の親方さんが、
「バカヤロー。黙って手を握っていてやれ!」
…はすごいです。
心優しい方だったのです。
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ふだん何気なく見ている赤と白の煙突は、
100m以上もあって、
それを建設するために、
毎日何人もの人が、
らせん階段を上り降りしていると考えると……
口調が乱暴で、みな我が強いのもわかります。
ちょっとでも油断すると転落事故です。
今度、火力発電所の煙突を見る時に思い出します。