医学講座
保線_苦しむJR北海道
今日は2024年11月21日(木)です。
函館本線の保線を国の管理下にの続きです。
北海道新聞社がとてもいい記事を書いてくれました。
感謝です。
脱線事故、保線苦しむJR 修繕費10年で4割増 人材難、貨物の負担低く
渡島管内森町のJR函館線で起きた貨物列車の脱線事故で、JR北海道の安全運行体制の不十分さが明らかとなった。修繕費増加と人材難にあえぎつつ、保線コストの多くを担う国鉄分割民営化当時の仕組みを抱え、貨物列車も走る線路の維持を担う台所事情は苦しい。北海道新幹線の札幌延伸に伴い、今回の脱線地点を含む函館―長万部間は経営分離されるが、受け皿や費用負担を巡る具体論も煮詰まっていない。北の鉄路をどう守るのか、関係者が改めて直面した課題は重い。
「現場の責任ということではない。ルールの設定の方の問題だと認識している」。JR北海道の綿貫泰之社長は20日の記者会見で釈明した。
事故原因について、JRはレールのくびれにあたる「腹部」の著しい腐食を発見できなかったことを挙げる。社内の規定では、再検査となったレールの腹部を確認する決まりはないため、綿貫氏は「社員はルールに従って検査していた」と強調。ただ「検査をどう強化するかはこれから」とも述べ、再発防止には苦悩をにじませた。
JRの経営は厳しい。線路や車両などの修繕費(2023年度)は設備老朽化もあり、民営化した1987年度以降で最多の399億円に達し、ここ10年で4割増加。営業費用の3割を占める。
線路の点検や補修といった保線業務は、夜間の屋外作業や地方勤務がつきものだ。23年度の自己都合退職者236人のうち、保線を含む工務・電気関係は半数を占める。JR幹部は「ぎりぎりの状態。地方の社宅建て替えなどの対策をとっているが、若手がなかなか定着しない」と嘆く。
JR貨物は線路を保有せず、JR北海道に線路使用料を年20億円程度支払っている。その金額は、分割民営化時に国主導で定められた「アボイダブルコスト(回避可能経費)ルール」で安く抑えられている。国土交通省関係者にさえ「本来支払うべき金額の10分の1」との見方がある。
貨物列車が通過しなければ避けられたレールや枕木の交換費用などが対象だが、貨物専用線の除雪費などはJR北海道の負担。函館線の森―長万部間の特急・普通列車と、貨物列車の1日あたりの運行本数はそれぞれ40本程度とはいえ、貨物の方が車両数が多く重量もある。JR北海道の23年度の営業損益は499億円の赤字だった。同社には「線路を消耗させているのは貨物列車」という不満がくすぶる。
JR貨物側は、割安な使用料の維持を望む。出費が増えれば、貨物鉄道を利用する物流会社や荷主への価格転嫁につながり、消費者の負担増加につながる―との思いもある。線路使用料はJR貨物とJR6社の協定に基づいており、27年に契約期限を迎える。JR貨物が事実上優遇されるルール自体を見直す機運は、なお高まっていない。
札幌延伸時期が固まっていない北海道新幹線の開業後の鉄路のあり方も、事態を左右する。函館―長万部間は並行在来線で、JR北海道から経営分離される。貨物線として維持される方向だが、国や道が有識者会合で詳細を検討中。25年度中に結論を出す予定にもかかわらず、線路設備の保有主体や維持費を巡る議論は進んでいない。
近年、JR北海道は訪日客関連の増収や不動産事業の拡大を図っているが、列車運行の安全が大前提となる。同社の経営改善委員を務める北大公共政策大学院の石井吉春客員教授は「保線体制が行き届いていなかったことが最大の課題。安全を守る体制は限界にある」と指摘。国の追加支援を含め、人材や予算の手当てを通じた持続可能な保線の仕組みが不可欠だと訴える。(工藤雄高)
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うちの奥さんの父親は保線区でした。
保線区の仕事は大変です。
列車が運行しない夜間の作業です。
函館本線は夜間も貨物列車が通ります。
人身事故を起こさないように、
寒い夜に保線や除雪をするのが大変です。
若い人が定着するわけがありません。
国が線路を守ってくれないと誰も保線をしなくなります。